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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻10号

2006年09月発行

今月の主題 ・sm癌の最新の診断と治療戦略

主題

治療成績からみた食道m3・sm癌の治療方針―EMR+αの治療成績:m3・sm1癌を中心に

著者: 門馬久美子1 吉田操2 藤原純子1 江頭秀人3 来間佐和子3 江川直人3 三浦昭順4 加藤剛4 出江洋介4 根本哲生5 船田信顕5

所属機関: 1東京都立駒込病院内視鏡科 2東京都保健医療公社荏原病院 3東京都立駒込病院内科 4東京都立駒込病院外科 5東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.1447 - P.1458

文献概要

要旨 1990年より2004年12月までにEMRを施行した臨床診断N0のm3・sm1食道癌81例(m3:58例,sm1:23例)を検討対象とした,EMR後の追加治療は,全身状態と深達度,浸潤長径,脈管侵襲,浸潤様式,先進部の組織型などの組織所見を参考に施行した.①経過観察57例70%(m3:49例,sm1:8例),②放射線化学療法(CRT)または放射線治療(RT)17例21%(m3:7例,sm1:10例),③化学療法3例4%(m3:2例,sm1:1例),④手術療法4例5%(m3:0例,sm1:4例)であった.内視鏡病型は,経過観察m3癌の96%は凹凸が目立たない0-II型であったが,他は陥凹が目立ち,陥凹内あるいは陥凹周囲に盛り上がりを伴う0-IIc病変が大半を占めた.治療法別に脈管侵襲陽性率を見ると,経過観察m3癌19%,sm1癌50%,CRT/RT例m3癌42.9%,sm1癌70%,化学療法例m3・sm1癌は100%,手術例sm1癌75%であった.局所再発は,経過観察m3癌8例(16%)に認め,7例は再EMR,1例は再EMR+RTを行った.リンパ節転移は5例あり,①経過観察m3癌,0-IIa+IIc型のly0,v0であり,EMR後3年目に106rRに再発し,現在CRT中,②化学療法m3癌,0-IIa+IIc型のly(+),v(+)であり,EMR後4年目上縦隔リンパ節転移が診断され,再発後11か月目に原病死,③化学療法sm1癌,全周性の表層拡大型症例でly(+),v(+)であり,EMR後1.5年目に上縦隔のリンパ節転移が発見され,リンパ節摘出後CRTを施行し,追加治療後4年5か月CRを維持,④手術治療2例で106rRに転移を認めた.いずれも脈管侵襲陽性例であり,外科治療後,健在である.

参考文献

1) 門馬久美子,榊信廣,吉田操.食道粘膜癌内視鏡的治療―内視鏡的粘膜切除(mucosectomy)を中心に.消化器内視鏡 2 : 501-506, 1990
2) 井上晴洋,遠藤光夫,竹下公夫,他.透明チュ-ブを用いた内視鏡的食道粘膜切除術(EMRT).Gastroenterol Endosc 32 : 37-42, 1990
3) 幕内博康,町村貴郎,杉原隆,他.食道粘膜癌の内視鏡診断と治療.消化器内視鏡 2 : 447-452, 1990
4) 小玉正智,掛川暉夫.食道表在癌の治療―第 49 回食道疾患研究会:食道表在癌アンケート集計報告.日外会誌 97 : 683-690, 1996
5) 真能正幸,上堂文也,石黒信吾,他.食道 m3・sm1 癌の臨床病理.胃と腸 37 : 11-17, 2002
食道癌の特徴.胃と腸 37 : 71-74, 2002
癌の質的・量的内視鏡診断.胃と腸 37 : 33-46, 2002
と判明した癌への対応.胃と腸 31 : 1207-1215, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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