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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻11号

2006年10月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点 主題

早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点―私はこう考える:外科の立場から

著者: 片井均1 阪眞1 深川剛生1 佐野武1 笹子三津留1 後藤田卓志2

所属機関: 1国立がんセンター中央病院胃外科 2国立がんセンター中央病院内視鏡部

ページ範囲:P.1521 - P.1524

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はじめに

 早期胃癌はリンパ節転移頻度が低く,機能温存・縮小手術の導入が可能である.

 しかしながら,成績がよい,D2胃切除が安全に行われるわが国では,導入にあたり,根治性を損なうことは許されない.当施設では,根治性の検討を十分に行い,以下の機能温存・縮小手術を導入している.

 (1) 内視鏡治療

 ESD(endoscopic submucosal dissection): 胃癌治療ガイドライン1)を超えた適応拡大2)

 (2) 外科手術

 ①M領域癌:幽門保存胃切除(pylorus preserving gastrectomy ; PPG)3)

 ②M,MU領域癌:幽門下動静脈を温存する分節胃切除

 ③U領域癌:噴門側胃切除(噴切)4)

 内視鏡切除は究極の機能温存・縮小・低侵襲手術である.腹腔鏡下手術そのものは胃の機能の温存に資するものはないが,開腹手術に比し,有意に出血量が少ない,蠕動開始が早い,離床が早い,疼痛が少ない,呼吸機能障害が少ない,と報告されている5).腹腔鏡下手術を,機能温存・縮小手術に付加することにより,通常開腹手術に低侵襲性の要素を加えることができ,その点では内視鏡治療と開腹機能温存・縮小手術の間に入るものと考える.当院では,上記手術のうちPPGと分節胃切除を腹腔鏡下に行っている.

参考文献

1) 日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン,2 版.金原出版,2004
2) Gotoda T, Yanagisawa A, Sasako M, et al. Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer : Estimation with a large number of cases at two large centers. Gastric Cancer 3 : 219-225, 2000
3) 片井均,丸山圭一,笹子三津留,他.迷走神経肝枝と幽門枝を温存する幽門保存胃切除 : 消化性潰瘍.臨床と基礎 15 : 184-189, 1996
4) Katai H, Sano T, Fukagawa T, et al. Prospective study of proximal gastrectomy for early gastric cancer in the upper third of the stomach. Br J Surg 90 : 8850-8853, 2003
5) Kitano S, Shiraishi N, Fujii K, et al. A randomized controlled trial comparing open vs laparoscopy-assisted distal gastrectomy for the treatment of early gastric cancer : An interim report. Surgery 131 : S306-S311, 2002
6) 小野裕之,後藤田卓志,近藤仁,他.IT knife を用いた EMR―適応拡大の工夫.消化器内視鏡 11 : 675-681, 1999
7) Nunobe S, Gotoda T, Oda I, et al. Distribution of the deepest penetrating point of minute submucosal gastric cancer. Jpn J Clin Oncol 35 : 587-590, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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