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今月の主題 早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点 主題
早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点―私はこう考える:外科の立場から
著者: 片井均1 阪眞1 深川剛生1 佐野武1 笹子三津留1 後藤田卓志2
所属機関: 1国立がんセンター中央病院胃外科 2国立がんセンター中央病院内視鏡部
ページ範囲:P.1521 - P.1524
文献購入ページに移動早期胃癌はリンパ節転移頻度が低く,機能温存・縮小手術の導入が可能である.
しかしながら,成績がよい,D2胃切除が安全に行われるわが国では,導入にあたり,根治性を損なうことは許されない.当施設では,根治性の検討を十分に行い,以下の機能温存・縮小手術を導入している.
(1) 内視鏡治療
ESD(endoscopic submucosal dissection): 胃癌治療ガイドライン1)を超えた適応拡大2)
(2) 外科手術
①M領域癌:幽門保存胃切除(pylorus preserving gastrectomy ; PPG)3)
②M,MU領域癌:幽門下動静脈を温存する分節胃切除
③U領域癌:噴門側胃切除(噴切)4)
内視鏡切除は究極の機能温存・縮小・低侵襲手術である.腹腔鏡下手術そのものは胃の機能の温存に資するものはないが,開腹手術に比し,有意に出血量が少ない,蠕動開始が早い,離床が早い,疼痛が少ない,呼吸機能障害が少ない,と報告されている5).腹腔鏡下手術を,機能温存・縮小手術に付加することにより,通常開腹手術に低侵襲性の要素を加えることができ,その点では内視鏡治療と開腹機能温存・縮小手術の間に入るものと考える.当院では,上記手術のうちPPGと分節胃切除を腹腔鏡下に行っている.
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