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今月の主題 早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点 主題
早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点―私はこう考える:内科の立場から;胃病変に対するESD切除成績からみて
著者: 豊永高史1 西野栄世2
所属機関: 1岸和田徳洲会病院消化器内科 2岸和田徳洲会病院病理
ページ範囲:P.1531 - P.1534
文献購入ページに移動当科では2002年6月,ITナイフとNeedleナイフを併用する方法でESD(endoscopic submucosal dissection)を導入し現在までに食道・胃・大腸合わせて約1,200例の切除経験を有している.その間2003年4月より筋層が正面に位置する際の剝離操作にHookナイフを,2003年12月より大腸ESDにFlexナイフを,2003年11月より自作ショートニードルナイフ1)を食道のマーキングおよび粘膜下層剝離に導入し,安全性・有用性の向上に努めてきた2)~5).さらにショートニードルナイフの製品化と多臓器への応用,より容易,安全かつ効率的にESDを施行する目的でナイフ先端から送水可能なショートニードルナイフ(FlushKnife)を開発し6),2005年3月から先発デバイスとして使用している.
切除成績
胃のESDは2006年4月までに864病変を経験した.最終診断に基づくカテゴリー別の切除成績をTable 1に示す.遺残・再発病変はUL(+)とし腺腫も形態・腫瘍径から癌に準じて取り扱った.en-bloc切除でも病変に損傷があった場合は分割例とした.一括切除率/一括完全切除(一括かつ切除断端陰性)率はガイドライン病変:99.8%/99.8%,適応拡大病変:98.0%/96.9%と極めて良好であった.適応外病変では,垂直断端陽性例を中心に完全切除率の低下がみられたものの,一括切除率は97.7%と良好で正確な病理組織診断に基づく治療効果,追加治療の必要性の判定が可能であった.
参考文献
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