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今月の主題 早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点 主題
早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点―私はこう考える:病理の立場から
著者: 八尾隆史1 恒吉正澄1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院形態機能病理
ページ範囲:P.1550 - P.1552
文献購入ページに移動内視鏡的に切除する場合には,リンパ節転移がないものに対して行われるべきである.胃癌治療ガイドラインにおいては,M癌,2cm以下,分化型の3因子を満たすものがリンパ節転移の危険性がない病変として,EMRの適応病変とされている1).EMRの時代では完全切除可能な病変は2cm程度までなので,完全切除できる分化型M癌はEMR,それ以外の大きなM癌やSM~MP癌でリンパ節転移が画像的にないかその危険性が少ないものは腹腔鏡下手術,リンパ節転移を画像的に認めるもの,あるいはその危険が高いものは開腹手術という理解で十分であった.しかし,ESDが導入されるようになり病変の大きさの制限がなくなり,しかも潰瘍瘢痕があっても切除可能となってきたため,少なくとも腹腔鏡下手術の適応病変の一部は内視鏡的切除で十分根治できるようになってきた.実際は,腹腔鏡下手術ではリンパ節郭清も行っているので仮に結果的にリンパ転移が陽性でも根治は期待できるが,ESDを試行するにあたってはリンパ節転移があってはならないので,リンパ節転移の有無に対してより厳密な評価が必要である.
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