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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻13号

2006年12月発行

文献概要

今月の主題 大腸腫瘍に対する拡大内視鏡診断の最先端 主題

大腸拡大内視鏡診断における腫瘍・非腫瘍の鑑別

著者: 山野泰穂1 黒田浩平1 吉川健二郎1 佐藤健太郎1 野元雅仁1 児玉健太1 藤田穣1

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター

ページ範囲:P.1763 - P.1771

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要旨 大腸における内視鏡診断の要素として,病変の腺管開口部の形態から診断する拡大内視鏡診断,pit pattern診断は既に市民権を得ていると思われる.今回上皮性由来の病変に関する腫瘍・非腫瘍の鑑別について検討を行った.当センターにおいて拡大内視鏡観察が行われ,かつ標本が切除され病理組織学的検討を行った隆起型・表面型1,328病変を対象として,I・II型pit patternを呈する非腫瘍性pit群とIII~V型pit patternを呈する腫瘍性pit群の2群に大別して,その病理組織像と対比した.また誤診例についても検討した.その結果,拡大内視鏡による腫瘍・非腫瘍の鑑別は感度,特異度が89.3%,96.2%(p<0.01)と高値を示し十分に信頼に足るものであったが,今回の検討はretrospective studyであるためバイアスが含まれており,これを是正するとさらなる高い診断能であることが示唆された.一方誤診した病変の検討では,非腫瘍性pitと判断した群では低異型度腺腫,5mm以下の微小病変が多く,また腫瘍性pitと判断した病変群では炎症性ポリープ,過形成性ポリープと誤診される場合が指摘でき,これらの病変を診断する際は注意を要すると思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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