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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻2号

2006年02月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の内視鏡診断―最近の進歩 主題

食道表在癌深達度診断の進歩―拡大内視鏡vsEUS:EUSの意義

著者: 有馬美和子1 有馬秀明2 多田正弘1

所属機関: 1埼玉県立がんセンター消化器内科 2有馬外科胃腸科

ページ範囲:P.183 - P.196

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要旨 食道表在癌の深達度診断における,拡大内視鏡とEUSの有用性と問題点を明らかにするとともに,EUSの役割について検討した.拡大内視鏡による微細血管パターンの観察で,通常観察では診断できなかった細かい深達度の読み分け,各部分の組織像の成り立ちを予測できる.深部浸潤部では多重状(multi-layered;ML),不整樹枝状(irregularly branched:IB),網状(reticular;R)のtype4血管が出現する.type4血管で囲まれたavascular area(AVA)の大きさから深達度診断が可能である.拡大観察の誤診例の多くは,表層がm1・m2癌などの浅い癌で覆われながら,その深部で微小浸潤していたり,結節状の癌蜂巣が浸潤したりする病巣であった.微小浸潤は拡大観察,EUSとも診断の限界であるが,隆起や肥厚が目立つ病変の評価にはEUS,特に高周波数細径超音波プローブが役立つ.また,AVAを形成しないtype4Rから成る病変(non-AVA)は低分化型癌やinfγの浸潤形態を呈することが多く,具体的な深達度診断にはEUSが必須である.

参考文献

癌の治療成績―EMRと手術の長期予後.胃と腸 37 : 53-63, 2002
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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