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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻2号

2006年02月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の内視鏡診断―最近の進歩 主題研究

flat panel detectorを用いた食道表在癌のX線診断

著者: 高木靖寛1 長浜孝1 宗祐人1 平井郁仁1 松井敏幸1 田邉寛2 池田圭祐2 岩下明徳2 原岡誠司2 有馬純孝3 菊池陽介4

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理 3福岡大学筑紫病院外科 4きくち胃腸科・内科クリニック

ページ範囲:P.240 - P.249

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要旨 直接型平面検出器(FPD)は,食道造影検査において従来のDRが持つ利点,すなわち,連続撮影,リアルタイム画像表示,画像処理などの機能はそのままに,空間分解能の向上で画質も大幅に改善し良質な画像が得られる.さらに左右側への円弧動回転で任意方向からの撮影が可能なCアーム機能も搭載している.今回,当院食道表在癌症例46例を用いて従来のフィルム-増感紙による撮影系(CFSS群:26病変)とFPD群(20病変)の描出能を比較した.その結果,側面像の描出能では両群間に差はなかったが,正面像ではFPD群はCFSS群に比べ描出能が高く,境界,隆起や陥凹といった所見が鮮鋭に描出される傾向がみられた.さらに,描出困難とされるm1, 2癌の正面像でもFPD群はCFSS群に比べ明らかに良好な描出成績が得られた(p=0.03).以上からFPDは,食道表在癌のうちより浅い浸潤癌に高い描出能を有することがわかった.

参考文献

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癌の質的・量的内視鏡診断.胃と腸 37 : 33-46, 2002
癌の質的・量的X線診断.胃と腸 37 : 19-32, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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