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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻4号

2006年04月発行

文献概要

特集 消化管内視鏡治療2006 各論 1.早期癌に対する内視鏡治療

2)食道 (1)2チャンネル法

著者: 門馬久美子1 吉田操2 藤原純子1 荒川丈夫1 藤原崇3 江頭秀人3 江川直人3 三浦昭順4 加藤剛4 出江洋介4 根本哲生5 船田信顕5

所属機関: 1東京都立駒込病院内視鏡科 2東京都立墨東病院 3東京都立駒込病院内科 4東京都立駒込病院外科 5東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.466 - P.473

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要旨 1988年,早期食道癌に対する内視鏡的治療法として“2チャンネル法”を開発した.2チャンネル法は,把持鉗子で病巣部を把持しながら切除するため,設定した範囲を正確に,しかも必要最小限の組織欠損にて治療可能な手技法である.1回に切除できる粘膜の大きさが25mm程度と限られるため,これより大きい病変の切除は分割切除となる.把持鉗子で把持したまま切除標本を回収するため,病変の方向性が判定しやすく,分割切除の場合でも再構築が可能であるが,多分割切除例では局所再発を起こす可能性が高いため,最低でも治療後2年目までは,粘膜切除部を観察することが必要である.2チャンネル法は,食道のいずれの壁に病変が存在しても治療可能であるが,伸展にて管腔が広げにくい入口部直下や腹部食道に病変が存在する場合は,病変の把持がしにくいため治療困難である.偶発症として,3/4周以上の粘膜欠損例では,82%に食道狭窄を認めた.食道狭窄の程度は,粘膜欠損の周在と狭窄長により異なり,周在が広いほど,狭窄長が長いほど狭窄の程度は強く,ブジーによる拡張に時間を要した.現在まで穿孔例の経験がないのは,粘膜下層に十分量の生理食塩水を注入して粘膜を膨隆し,把持鉗子にて固有筋層を把持せず,分割切除時にも,切除操作のたびに生理食塩水を注入し,把持鉗子で潰瘍底を把持せず,スネアを粘膜切除後の潰瘍底にかけないように注意しているためと考える.

参考文献

1) 門馬久美子,榊信廣,吉田操.食道粘膜癌の内視鏡的治療―内視鏡的粘膜切除(mucosectomy)を中心に.消化器内視鏡 2 : 501-506, 1990
2) 門馬久美子,吉田操,山田義也,他.早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除の実際―2 チャンネル法.胃と腸 28 : 141-151, 1993
3) 門馬久美子,榊信廣,加藤久人,他.食道粘膜切除における改良型把持鉗子の有用性.Progress of Digestive Endoscopy 39 : 120-123, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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