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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻4号

2006年04月発行

文献概要

特集 消化管内視鏡治療2006 各論 2. 良性腫瘍に対する内視鏡治療

1)上部消化管 (2)粘膜下腫瘍 ① 食道

著者: 太田正穂1 中村努1 林和彦1 内田数海1 武市智志1 成宮孝祐1 高崎健1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器外科

ページ範囲:P.573 - P.577

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要旨 食道粘膜下腫瘍に対してわれわれの施設では20mm以下の病変では経過観察をしているが,20mm以上の病変であれば精査を行い,厳重な経過観察とするか治療を行うかを検討するようにしている.食道粘膜下腫瘍の内視鏡治療の適応は粘膜内にとどまる良性腫瘍が最も良い適応であり,内輪筋レベルでの病変が適応の限界と思われる.内視鏡治療が可能な病変であるか否か,もしくは質的な診断を行うには細径プローブによる超音波診断が有用と考えられる.必要に応じて生検診断を加えて正確な診断を期しているが,通常内視鏡観察でも慎重に観察を行えば得られる情報は多く,食道粘膜下腫瘍の初期診断を行う上で重要と言える.治療手技は食道表在癌に対する粘膜切除術に準じた技術で大部分が対応可能と思われるが,治療に至るまでの診断が重要であり,正確な診断がなされていれば良好な治療結果が得られるものと思われる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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