文献詳細
文献概要
特集 消化管内視鏡治療2006 各論 3. 通過障害に対する内視鏡治療
2)ステント留置術 (1)上部消化管 ① 食道―Self-Expandable Metallic Stent による治療
著者: 葉梨智子1
所属機関: 1東海大学東京病院外科
ページ範囲:P.629 - P.634
文献購入ページに移動要旨 Self-Expandable Metallic Stentは,留置が比較的容易で,少ない侵襲で高い治療効果が得られ,根治不可能な悪性食道狭窄の緩和治療として有用である.自験食道悪性狭窄例への留置92回の成功率は99%で,非切除・再燃胸部食道癌46例の留置では80%が粥以上摂食可能で35%が補助栄養なしに一度退院した.胸部食道留置の合併症は疼痛・穿孔・出血などだが頻度は低い.この他にもdislocation,ingrowthへの対応が必要となる.頸部食道や噴門にまたがって留置する場合の問題点,瘻孔や気道圧排への対応,他治療,特に放射線併用の注意など種々の問題点がある.安易な留置は避け,十分なインフォームドコンセントが必要である.
参考文献
1) 葉梨智子,熊谷洋一,出江洋介,他.胸部食道悪性狭窄の内視鏡治療―狭窄長の長い症例に対する治療.消化器内視鏡 13 : 1397-1402, 2001
2) 葉梨智子,吉田操.手術のコツシリーズ 頸部気管食道③ 気管食道狭窄 食道ステント装着手技.JOHNS 19 : 120-122, 2003
3) Mizumoto Y, Matsuda K, Itoh Y, et al. Trial use of a gore-tex covered Ultraflex stent with reflux preventive action for cardioesophageal cancer[abstruct]. Gastrointest Endosc 45 : AB35, 1997
4) Muto M, Ohtsu A, Yoshida S. Treatment strategies for esophageal stricture before or after chemoradio-therapy for advanced esophageal cancer. Digestive Endoscopy 16(Suppl) : S5-S8, 2004
5) 秋山清次,中尾昭公.最新ステント治療の実際と問題点 III. 進行食道癌に対するステントによる温熱化学療法.外科 63 : 655-660, 2001
掲載誌情報