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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻4号

2006年04月発行

文献概要

特集 消化管内視鏡治療2006 各論 3. 通過障害に対する内視鏡治療

3)イレウス管挿入 (2)経肛門的減圧術の臨床的有用性

著者: 小林清典1 春木聡美1 小川大志1 横山薫1 佐田美和1 勝又伴栄1 西元寺克禮1

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科

ページ範囲:P.654 - P.658

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要旨 腸閉塞を合併した左側大腸癌に対する,経肛門用イレウス管による減圧術の臨床的有用性について検討した.経肛門的減圧術を試みた大腸癌は53病変で,うち原発癌が42病変,転移性癌が11病変であった.原発癌の10病変は高度狭窄のためにイレウス管の挿入が困難であったが,挿入例では腸閉塞症状の改善を88%,腹部単純X線所見での腸管ガス像の減少を81%で認めた.原発癌と転移性癌で経肛門的減圧術の治療成績に,明らかな差は認めなかった.なお原発癌に対しては,経肛門的減圧術が緊急手術の回避に有用であった.減圧術の偶発症は,穿孔を2例,発熱を伴う腹痛を2例に認めた.経肛門的減圧術は,左側大腸癌に伴う腸閉塞の改善や緊急手術の回避に有用であると考える.

参考文献

1) Kobayashi K, Igarashi M, Yoshizawa S, et al. Clinical usefulness of colonoscopic insertion of a decompression tube for obstructive colorectal cancer. Dig Endosc 16(Suppl) : S70-S72, 2004
2) Lelcuk S, Klausner JM, Merhav A, et al. Endoscopic decompression of acute colonic obstruction―Avoiding staged surgery. Ann Surg 203 : 292-294, 1986
3) 久留宮康浩,寺崎正紀,浅羽雄太郎,他.大腸癌イレウスの治療戦略 : 経肛門的減圧術の予後からみた検討.日本腹部救急医会誌 25 : 13-19, 2005
4) 大東誠司,掘田亮,棚瀬信太郎,他.閉塞性左側大腸癌に対する経肛門的イレウス管の有用性と問題点.日本大腸肛門病会誌 56 : 103-108, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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