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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻5号

2006年04月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

粘膜下腫瘍様形態を呈した胃高分化型腺癌の1例

著者: 吉永繁高1 貞元洋二郎1 樋口奈緒美1 金山兼司1 水谷孝弘1 隅田頼信1 秋穂裕唯1 中村和彦1 永井英司2 能城浩和2 神代由美子3 八尾隆史3 本田邦臣4 板場壮一4

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院病態制御内科学 2九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科学 3九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 4九州大学病院光学医療診療部

ページ範囲:P.851 - P.855

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要旨 患者は68歳,男性.主訴はタール便.当院心臓外科に僧帽弁置換術のため入院.術後12日目より貧血の進行,タール便を認めたため上部消化管内視鏡施行した.出血源は胃体中部小彎の良性潰瘍であった.その際,前庭部後壁にひだの集中を伴う25mm大の粘膜下腫瘍様病変を認めた.頂部にわずかな不整形陥凹を認め,同部の生検より高分化腺癌と診断し,外科的切除を行った.切除標本にて陥凹面に一致して癌の表面への露出を認めたが,大部分で粘膜表層は非腫瘍性であった.癌細胞は管腔を形成しつつ著明な線維化を伴いながら漿膜下層まで浸潤しており,粘膜下腫瘍様胃癌としてまれな発育様式を示した1例と考えられた.

参考文献

1) 結城豊彦,佐藤匡,石田一彦,他.粘膜下腫瘍様の形態を示した胃癌.胃と腸 38 : 1527-1536, 2003
2) 武本憲重,馬場保昌,加来幸生,他.粘膜下腫瘍の形態を呈した胃癌のX線診断.胃と腸 30 : 759-768, 1995
3) 河田佳代子,石黒信吾,辻直子,他.粘膜下腫瘍様形態を示す胃癌の臨床病理学的特徴.胃と腸 30 : 739-746, 1995
4) 石黒信吾,塚本吉胤,春日井務,他.粘膜下腫瘍様の形態を示す胃癌.胃と腸 38 : 1519-1526, 2003
5) 松本元里,幕内博康,大谷泰雄,他.粘膜下腫瘍の形態を示し術前に確診が得られなかった高分化型早期胃癌の1例.胃と腸 30 : 827-832, 1995
6) 上堂文也,飯石浩康,石黒信吾,他.粘膜下腫瘍様の形態を呈し術前診断が困難であった胃粘液癌の1例.胃と腸 38 : 1557-1561, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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