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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻6号

2006年05月発行

今月の主題 非定型的炎症性腸疾患―診断と経過

主題

非定型的Crohn病の診断と経過―X線,内視鏡所見を中心に

著者: 横山薫1 勝又伴栄1 春木聡美1 小川大志1 佐田美和1 小林清典1 西元寺克禮1 岡安勲2 三富弘之3

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科 2北里大学東病院病理 3国立病院機構相模原病院研究検査科

ページ範囲:P.912 - P.924

文献概要

要旨 当院のCrohn病(以下CD)311例中潰瘍性大腸炎に類似した所見(UC類似病変)を合併した非定型例は6例(1.9%)であった.UC類似病変が初回検査時に認められた症例は4例(67%)で,経過中に出現してきた症例は2例(33%)であり,CD発症後7年と9年であった.直腸にUC類似病変を認めたものは3例(50%)であり,病変が非連続性で区域性であったのは2例(33%)であった.UC類似病変がCD典型例へ進展したのは2例(33%)で,UC類似病変出現後3年と8年であった.CDのUC類似病変合併例の診断には肛門部病変や小腸病変の有無と,病変部以外の部位からも非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫の検出を試みることが重要であるが,長期にわたる経過観察中に典型的な所見を呈してきて診断がつくことも多い.

参考文献

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9) 八尾建史,古川敬一,八尾恒良,他.非定型大腸 Crohn 病― 5 例の提示とその診断における問題点.胃と腸 29 : 411-425, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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