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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻6号

2006年05月発行

文献概要

今月の主題 非定型的炎症性腸疾患―診断と経過 主題

炎症性腸疾患と鑑別困難な感染性腸炎の診断と経過―Crohn病との鑑別を中心に

著者: 清水誠治1 渡邉元樹1 富岡秀夫1 辰巳千栄1 岡田頼久1 栗田亮1 奥山俊介1 本庶元1 光本保英1 森敬弘1 岡茂樹2 多田正大3

所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科 2岡医院 3多田消化器クリニック

ページ範囲:P.951 - P.958

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要旨 Crohn病を感染症と誤診した場合に比べて,その逆の場合は重大な帰結をもたらす.Crohn病と鑑別を要する感染性腸炎として代表的なものは,腸結核,アメーバ性大腸炎,エルシニア腸炎である.特に腸結核とアメーバ性大腸炎は慢性経過を辿り診断に迷うことがある.Crohn病の典型像である縦走潰瘍や敷石像を呈する感染症は極めてまれであり,感染性腸炎とCrohn病の鑑別が問題となるのはCrohn病としては非定型的なアフタや方向性不明の多発性潰瘍がみられる場合がほとんどである.感染症を疑っていても病原体が証明できない場合に安易にCrohn病と診断してしまわないよう注意が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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