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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻6号

2006年05月発行

文献概要

今月の主題 非定型的炎症性腸疾患―診断と経過 主題

炎症性腸疾患と鑑別困難な感染性腸炎の診断と経過―潰瘍性大腸炎との鑑別を中心に

著者: 大川清孝1 青木哲哉1 上田渉1 佐野弘治1 大平美月1 池田雄一郎1 池田宣史1 川崎康順1 大谷恒史1 裵英沫2 井上健2 追矢秀人3 中村志郎4

所属機関: 1大阪市立総合医療センター消化器内科 2大阪市立総合医療センター病理 3追矢クリニック 4りんくう総合医療センター泉佐野市立病院消化器内科

ページ範囲:P.959 - P.970

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要旨 潰瘍性大腸炎と間違いやすい感染性腸炎としてカンピロバクター腸炎,サルモネラ腸炎,アメーバ性大腸炎について述べた.ほとんどが内視鏡的に鑑別可能であるが,カンピロバクター腸炎では鑑別が難しい例もみられる.潰瘍性大腸炎の経過中に発症したカンピロバクター腸炎・サルモネラ腸炎についても述べた.潰瘍性大腸炎と誤診しないためにはこれらの感染性腸炎の内視鏡像および潰瘍性大腸炎の内視鏡像に精通していることが重要である.細菌性腸炎との鑑別では必ず便培養を行うことが重要である.アメーバ性大腸炎との鑑別では,内視鏡像でアメーバの可能性を考えること,診断は生検のみに頼らず血清アメーバ抗体などを併用することが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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