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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻6号

2006年05月発行

文献概要

今月の主題 非定型的炎症性腸疾患―診断と経過 主題症例

約3年半の経過でアフタから典型的な潰瘍性大腸炎へと進展した1例

著者: 青木哲哉1 大川清孝1 上田渉1 佐野弘治1 池田宜史1 池田雄一郎1 大谷恒史1 川崎康順1 中井隆志1 川崎靖子1 木岡清英1 岡博子1 上田実希2 染田仁3 王康義4

所属機関: 1大阪市立総合医療センター消化器内科 2大阪市立総合医療センター内科 3関西電力病院消化器内科 4王内科胃腸科クリニック

ページ範囲:P.971 - P.976

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要旨 症例は60歳,男性.腹痛を主訴に当院へ入院した.急性膵炎の診断にて入院加療を行った.入院後,粘液,血液を混じる下痢が出現した.大腸内視鏡検査にて全大腸炎型の潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; 以下UC)と診断した.UCおよびUCに合併した急性膵炎と診断し,ステロイドの投与を行い症状は軽快した.患者は以前より軟便傾向であり定期的に大腸内視鏡検査が施行されていたが,大腸内に散在するアフタのみの所見であった.急性膵炎の発症を契機に約3年半の経過でアフタから典型的な潰瘍性大腸炎へと進展した症例を経験したので,内視鏡像の経過を中心に報告する.

参考文献

1) 多田正大,藤田欣也,伊藤義幸,他.腸管アフタ様病変の鑑別―内視鏡を中心に.胃と腸 28 : 411-418, 1993
2) 林繁和.腸管アフタ様病変の鑑別―大腸の急性炎症を中心に.胃と腸 28 : 419-428, 1993
3) 武藤徹一郎.炎症性腸疾患のスペクトル.医学書院,pp 217-223, 1986
4) 八尾恒良,桜井俊弘,松井敏幸,他.アフタ様病変のみの Crohn 病―典型的 Crohn 病との差異とその経過.胃と腸 29 : 507-519, 1994
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10) 堺勇二,渕上忠彦,小林広幸,他.Crohn 病の初期病変―他疾患との鑑別を中心に.胃と腸 40 : 859-871, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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