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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻7号

2006年06月発行

文献概要

今月の主題 Helicobacter pyloriに起因しないとされる良性胃粘膜病変 主題

Helicobacter pyloriに起因しないとされる胃粘膜病変の形態―Crohn病以外の肉芽腫性病変

著者: 小林広幸1 渕上忠彦1 堺勇二1 大城由美2 岩下明徳3 小島進4

所属機関: 1松山赤十字病院消化器科 2松山赤十字病院病理 3福岡大学筑紫病院病理部 4島原池田病院

ページ範囲:P.1061 - P.1067

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要旨 胃に肉芽腫性病変を生じる疾患のうち,Crohn病以外の代表的疾患である,結核,サルコイドーシス,梅毒などについて,その形態学的特徴を含めた臨床像について概説した.いずれの疾患も胃粘膜に不整な潰瘍・びらんを主体とする病変を生じることが多いが,結核とサルコイドーシスでは多彩な形態を呈するためX線・内視鏡所見のみから診断することは困難である.一方,胃梅毒は幽門前庭部に好発し,X線では全周性漏斗状狭窄,内視鏡では易出血性の浅い不整形の多発潰瘍やびらんを呈し,副病変として胃体部に梅毒性皮疹類似の粘膜病変を伴うなど,X線・内視鏡の特徴的所見から診断可能なことが多い.肉芽腫性胃炎を生じる疾患はいずれもまれな疾患でありX線・内視鏡のみでは診断困難な場合も少なくないため,個々の疾患の臨床的特徴も含め鑑別診断を行っていくことが必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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