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文献詳細

雑誌文献

胃と腸41巻8号

2006年07月発行

早期胃癌研究会症例

大腸結核の1例

著者: 宗本義則1 全陽2 宇野彰晋1 上藤聖子1 寺田卓郎1 竹原朗1 川口雅彦1 堀田幸次郎1 土田敬1 藤沢克憲1 笠原善郎1 斉藤英夫1 三井毅1 浅田康行1 飯田善郎1 三浦将司1

所属機関: 1福井県済生会病院外科 2福井県済生会病院病理

ページ範囲:P.1209 - P.1214

文献概要

要旨 症例は58歳,男性.胃癌術後の定期検査で上行結腸に横走する単発の潰瘍を認めた.周囲粘膜には潰瘍瘢痕を伴う粘膜萎縮帯はなく,回盲部の変形,回盲弁の開大も認めていなかった.しかし潰瘍は横走し,潰瘍の辺縁は整で,蚕食像などの悪性所見はなく潰瘍底は白色状で軽度凹凸を認めた.また回腸末端の腸間膜対側に潰瘍瘢痕を認めた.生検で潰瘍底の肉芽組織内に類上皮肉芽腫を認め,検体で結核菌陽性となり腸結核と確定診断した.抗結核療法を行い治療後潰瘍は著明に縮小した.本例のように無症状で発見される大腸潰瘍性病変に関して腸結核の存在を念頭に置いた診療が必要であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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