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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻1号

2007年01月発行

今月の主題 胃分化型SM1癌の診断―垂直浸潤500μm

主題

胃分化型SM癌の浸潤と増殖―組織像の変化について

著者: 伊東干城1 滝澤登一郎2 堀口慎一郎2 比島恒和2 根本哲生1 岩崎善毅3 船田信顕1

所属機関: 1東京都立駒込病院病理科 2東京医科歯科大学附属病院病理部 3東京都立駒込病院外科

ページ範囲:P.7 - P.13

文献概要

要旨 外科的切除されたSM癌を対象に,組織型間の悪性度の違いを,脈管侵襲・リンパ節転移の点から検討した.その結果,乳頭腺癌はほかの組織型と比較して脈管侵襲陽性率やリンパ節転移陽性率が高く,悪性度が高い組織型であることがわかった.高分化型腺癌に観察される乳頭腺癌成分に注目すると,乳頭腺癌成分が多いものほど脈管侵襲陽性率やリンパ節転移率が高く,乳頭腺癌成分が優勢か否かのみならず,乳頭腺癌成分が含まれるものは含まれないものよりも悪性度が高いことがわかった.そのほか,SM浸潤における組織型の変化を検討したが,高分化型から低分化型に移行するSM腺癌の多くは,粘膜内で移行を示すことがわかった.診断目的の生検にて乳頭腺癌成分が採取された場合は,内視鏡的切除の適応について慎重な対応が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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