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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻1号

2007年01月発行

今月の主題 胃分化型SM1癌の診断―垂直浸潤500μm

主題

胃分化型SM1癌(垂直浸潤500μm未満)の診断―500μm以上と対比して―ひだ集中を有する陥凹型早期胃癌におけるX線の深達度診断能:Ul合併例の限界

著者: 長浜孝1 田邉寛2 高木靖寛2 宗祐人3 八尾建史1 久部高司1 松尾静香1 中村守1 宮岡正喜1 平井郁仁1 津田純郎1 松井敏幸1 西俣伸亮2 池田圭祐2 大重要人2 太田敦子2 原岡誠司2 岩下明徳2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理部 3戸畑共立病院内科

ページ範囲:P.47 - P.59

文献概要

要旨 目的:ひだ集中を有するSM1癌が従来のX線診断指標を用いて診断可能であるか明らかにすることを目的とした.対象:ひだ集中を有する陥凹型胃癌(分化型癌主体)31病変を対象とした.また,ひだ集中を有するM癌45病変,SM2癌29病変を対照とした.方法:①ひだ集中を有する陥凹型M癌とSM1癌の術前深達度診断能を検討した.②ひだ集中を有する陥凹型早期胃癌に対して,X線的なSM深部浸潤所見ありと判定した頻度(有所見率)と,捉えた所見が病理組織学的に癌の浸潤と因果関係ありと判定された頻度(所見的中率)を求め,各深達度別に比較検討した.成績:①pMでcM,SM1は40/45病変(89%),pSM1でcM,SM1は20/31(65%)であった.pM,pSM1癌ともにUl-III,IV合併例を深読み誤診していた.②対象としたSM1癌はM癌と比較して高度Ul合併例が多く有所見率の頻度が高かったが統計学的な差はなかった(22.6% vs 8.9%:p=ns).所見的中率もSM1癌0%,M癌0%であり病理組織学的な裏付けで捉えられた所見に差はなかった.SM2癌の所見的中率は84%(21/25病変)でありSM1癌,M癌と比較して有意に高かった(p<0.01).まとめ:従来のSM深部浸潤の診断指標でひだ集中を有するSM1癌の浸潤所見を捉えることは困難であった.Ul(+)SM2癌においてはSM中層浸潤例(垂直浸潤距離500~800μm),高度Ul合併例の診断能の向上が必要であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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