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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻1号

2007年01月発行

文献概要

今月の主題 胃分化型SM1癌の診断―垂直浸潤500μm 主題

胃分化型SM1癌(垂直浸潤500μm未満)の診断―500μm以上と対比して―ひだ集中のある陥凹型早期胃癌における内視鏡診断(未分化型癌も検討に含めて)

著者: 光永篤1 白戸泉1 西野隆義1 今井隆二郎2 岸野真衣子2 小西洋之2 中村真一2 白鳥敬子2 大井至3

所属機関: 1東京女子医科大学附属八千代医療センター内視鏡科 2東京女子医科大学消化器内科 3東京女子医科大学消化器内視鏡科

ページ範囲:P.61 - P.68

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要旨 集中皺襞を伴うSM1癌(粘膜筋板下端から垂直浸潤500μm未満)とSM2癌(垂直浸潤500μm以上)とを比較すると,先太りならびに癒合所見はSM2癌に有意に多く,これらの所見が癌のsm浸潤(癒合はM癌では認められないことを以前報告済み1)),特にsm深層への浸潤に伴って出現する所見であることが示唆される.また,SM1癌とSM2癌の肉眼所見を比較すると,SM2癌において病変部の厚みが目立ち,この所見は送気量を減らしたときに特に強調される.これは病理組織学的には,癌が500μmを超えてsm深層に浸潤すると,浸潤する腫瘍量や反応性に出現する線維組織量が増えるためと考えられ,病変部におけるsm層の厚みが2,000μmを超える早期胃癌の約75%がSM2癌であった.したがって,超音波内視鏡(EUS)により病変部sm層の厚みを計測することで,間接的に癌のsm浸潤深度の鑑別が可能となると考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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