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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻10号

2007年09月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

杯状の形態を呈した直腸カルチノイド腫瘍の1例

著者: 浦岡尚平1 小林広幸1 大城由美2 堺勇二1 小田秀也1 蔵原晃一1 吉野修郎1 渡辺隆1 砂原賢士1 渕上忠彦1

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2松山赤十字病院病理

ページ範囲:P.1537 - P.1542

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要旨 症例は43歳,女性.下血を主訴に当センターを受診し,下部消化管内視鏡検査で下部直腸に深掘れの大きな陥凹を伴う亜有茎性の粘膜下腫瘍様隆起を指摘された.注腸X線検査では大きさ18mmの病変で,中央に境界明瞭な深い陥凹を伴う杯状の粘膜下腫瘍様隆起として描出され,可動性は良好であった.生検病理組織像にてカルチノイド腫瘍の診断が得られ,患者家族の強い希望で,まず経肛門的局所切除術を施行した.切除標本では,深部断端距離が500μm未満,核分裂像が2個/10HPF,Ki-67 L.I.が約3%,リンパ管侵襲もみられたため,直腸追加切除が行われた.その結果,リンパ節転移が陽性であった.本症例は直腸のカルチノイド腫瘍としては比較的まれな特異な形態を呈しており画像所見を中心に報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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