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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻11号

2007年10月発行

文献概要

今月の主題 ESD時代における未分化型混在早期胃癌の取り扱い 序説

ESD時代における未分化型混在早期胃癌の取り扱い

著者: 石黒信吾1

所属機関: 1PCL大阪 病理・細胞診センター

ページ範囲:P.1559 - P.1560

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はじめに

 早期胃癌に対するESD(endoscopic submucosal dissection)全盛の時代では,転移はもちろん,断端陽性あるいは再発を避けることが重要である.その適応において,組織型は分化型胃癌とされている.しかし,分化型と称される病変には,分化型のみで構成されている症例の他に,未分化型癌を混在する例も多くみられ,その未分化型癌成分にも多寡がある.切除術前の組織型の診断は,生検診断でなされるために,術後に未分化型癌の混在が判明することはしばしばみられる.この,未分化型が混在する分化型癌(未分化型混在癌)の,生物学的な悪性度の問題はいまだ十分に解決されているとは言えない.

 今回は,分化型のみで構成される病変あるいは未分化型癌のみで構成される病変と対比させて,未分化型混在早期胃癌の臨床病理学的特徴を浮き彫りにしたい.

 近年の内視鏡切除の機器および技術的な進歩により,正確にしかも広範囲な粘膜切除が可能となり,リンパ節転移の危険性の少ない癌に対しては,技術的には完全切除が可能となった.従来は,分化型の癌で,2cm以下の病変が適応となっていたが,さらに適応を拡大してできるだけ内視鏡的に切除を行う機運が高まっている.

 早期胃癌の内視鏡的切除における問題点は,潰瘍の有無と組織型とに集約されてきている.粘膜内に限局する潰瘍あるいは潰瘍瘢痕のない症例では,組織型の如何にかかわらず適応拡大となる可能性があり,問題は潰瘍性病変を含む癌である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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