icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻11号

2007年10月発行

今月の主題 ESD時代における未分化型混在早期胃癌の取り扱い

主題

ESDからみた未分化型混在早期胃癌の取り扱い―断端再発,リンパ節転移を含めて

著者: 藤崎順子1 山本頼正1 山本智理子2 加藤洋2 帯刀誠1 土田知宏1 星野惠津夫1 高橋寛1 五十嵐正広1

所属機関: 1癌研有明病院消化器内科 2癌研有明病院研究所病理部

ページ範囲:P.1659 - P.1669

文献概要

要旨 ESD前の生検で分化型であり治療を行った早期胃癌440例中,未分化混合型であった29例について検討を行った.術後病理診断で,分化型であったもの(分化純型)は411例(93.4%),10%以上に未分化型の混在のあったものは29例(6.6%)であった.分化純型ではSM癌が17例(4%)に対し29例の未分化混合型ではSM癌は14例(48%)あり,有意に高率であった.SM浸潤度別では分化純型でSM2が8例(47%)に対し,未分化混合型で10例(71%)と高率であった.またSM癌における脈管侵襲率は,分化純型SM1で1/9(11%),SM2で5/8(63%),未分化混合型SM1で3/4(75%),SM2で6/10(60%)に認め,未分化混合型SM1癌の脈管侵襲率が高率であった.未分化混合型SM癌については12例が追加胃切除術,2例が経過観察されている.胃切除術例についてリンパ節転移はみられなかった.未分化混合型の不完全切除例と遺残再発例は3例あり,遺残病変からの再発が確認された.これら3例は全例範囲診断が困難であり,特徴は手つなぎ腺管を有するtub2が主体であった.未分化混合型では通常の分化純型に比べSM浸潤率,脈管侵襲率が高く,範囲診断が困難であることが示唆された.

参考文献

1)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,13版.金原出版,1999
2)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン医師用,2版.金原出版,2004
3) Gotoda T, Yanagisawa A, Sasako M, et al. Incidence of lymphnode metastasis from early gastric cancer. The estimation with a large number cases at two large centers. Gastric Cancer 3:219-225, 2000
4)藤崎順子,山本頼正,加藤洋,他.リンパ節転移を有する胃分化型SM1癌の特徴.胃と腸 42:14-24, 2007
5)下田忠和,藤崎順子,樫村弘隆,他.胃癌の組織型と胃壁内進展形式.胃と腸 26:1125-1134, 1991
6)西倉健,渡辺英伸,味岡洋一,他.胃型分化型腺癌の判定基準と病理学的特徴.胃と腸 34:495-506, 1999
7)下田忠和,中西幸浩,斉藤淳.早期胃癌の病理診断とそのピットフォール.胃と腸 35:37-45, 2000
8)渡辺英伸.早期胃癌に対するESDの評価―私はこう考える.胃と腸 41:106-107, 2006
9)浜田勉,赤松泰次,大谷吉秀,他.未分化型胃癌EMRの現状―アンケート調査報告.胃と腸 37:1189-1194, 2002
10)田邉寛,岩下明徳,原岡誠司,他.病理学的にみた早期胃癌に対するESD切除成績と範囲診断困難例の特徴.胃と腸 41:53-66, 2006
11)小田一郎,後藤田卓志,蓮池典明,他.胃型分化型早期胃癌の内視鏡像.胃と腸 38:684-692, 2003
12)吉野孝之,下田忠和,斉藤敦,他.早期胃癌における胃型分化型腺癌の肉眼的特徴とその臨床治療.胃と腸 34:513-525, 1999
13)江頭由太郎.胃分化型腺癌の粘液組織学的検討.日消誌 91:839-848, 1994
14)下田忠和,二村聡,関根茂樹,他.胃癌の病理学的研究の進歩と臨床の接点.胃と腸 38:43-56, 2003
15)藤田力也,加藤洋(監),上部消化管グループ(編).癌研内視鏡治療病理カンファレンス(食道・胃) NBI所見と組織像.金原出版,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら