胃と腸42巻2号

2007年02月発行

今月の主題 食道扁平上皮dysplasia―診断と取り扱いをめぐって

主題

食道扁平上皮dysplasiaの病理診断

著者： 渡辺玄¹ 味岡洋一¹ 小林正明² 有賀諭生¹ 渡辺靖友¹ 西倉健¹

所属機関： ¹新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野 ²新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野

ページ範囲：P.129 - P.135

文献概要

要旨　WHO分類（2000年改訂）では，食道扁平上皮のdysplasiaは上皮内癌を除く上皮内腫瘍と定義されている．しかし，実際の運用面では，どのような病理所見を示す病変がdysplasiaに相当するかは，病理医によって隔たりがある．筆者らは，細胞の異常，構造の異常，フロント形成，および細胞分化異常の4要素を総合して食道異型扁平上皮の腫瘍・非腫瘍の鑑別を行い，判定に苦慮する病変ではp53およびKi-67免疫染色を参考に診断している．腫瘍と判断したものは，細胞と構造の異常から高・低異型度癌とに分類し，dysplasiaの診断名は用いていないが，WHO分類と筆者らの分類とを対比させると，WHO分類のlow-grade dysplasiaの中で筆者らの低異型度癌に対応する病変が，日本の病理医にとってはdysplasiaに相当するものと考えられる．

参考文献

1) Watanabe H, Jass JR, Sobin LH. WHO Histological Typing of Oesophageal and Gastric Tumouors, 2nd ed. Springer-Verlag, Berlin, 1990

2) 最新医学大辞典編集委員会(編)． 最新医学大辞典，第 3 版．医歯薬出版，2005

3) 石黒信吾，春日井務，星田義彦，他．追跡例から見た食道異形成(dysplasia)―第 33 回食道色素研究会「食道 dysplasia(異形成)を考える」のまとめを中心に．胃と腸 31 : 695-704, 1996

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12) 石黒信吾，塚本吉胤，片岡竜貴，他．食道異形成とは―その歴史的変遷と現況．消化器内視鏡 18 : 425-430, 2006

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