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Coffee Break
大腸学事始め―(9)たくさんの失敗と少々の成功
著者: 武藤徹一郎1
所属機関: 1癌研有明病院
ページ範囲:P.287 - P.287
文献購入ページに移動 今でこそ国際学会での発表では苦労しなくなったものの,London生活の約1年半はこと英語に関しては,針の筵に座っているようなものだった.初めのころ滞在していた,英国外科学会に隣接された王立外科学会員になるための受験生用宿舎では,朝食・夕食付きであった.食事はまことにまずく塩味が薄いなと思っても,"塩を取ってくれ"の一言が言い出せず1か月が経ったら,猛烈な全身倦怠感に襲われた.米国で日本人からお土産にもらった塩昆布をムシャムシャと食べたら,たちまち治ったので低塩症候群だったに違いない.ここでgo to the loo(トイレに行く)とかkeep your fingers crossed(good luck)などの口語を習った.英語は米語に比べてフラットに聞えるが,それでもアクセントがないと全く通じないことも体験した.30分もディスカッションした後に"Oh, cátegory!"と言われて大ショック.私のカテゴリーというフラットな日本式発音は全く理解されていなかったのである.有名なピカデリーサーカスもフラットに発音したのでは全く通じず,地下鉄の乗車券売場で立ち往生したことがある.列からはずれて他の乗客が買うのをじっと注意していると,ピィ´ッカデリーという音が聞えた.これだと思って真似てみたらOK!
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