文献詳細
今月の主題 大腸鋸歯状病変の発育進展と診断・取り扱い
主題
大腸鋸歯状病変の臨床的取り扱い―私はこう考える
著者: 鶴田修1 河野弘志1 唐原健1 吉森健一1 澤優子1 光山慶一1 佐田通夫1
所属機関: 1久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門
ページ範囲:P.329 - P.334
文献概要
大腸の鋸歯状病変の病理組織分類とその定義には種々の意見があり,混沌としていまだ統一されていないのが現状である1).ここでは筆者なりに臨床的に応用しやすいよう整理した分類(Table 1)について解説する.
過形成性ポリープ(hyperplastic polyp;HP)は組織学的にほとんど異型を伴わない鋸歯状病変(一般のHP)のことを指す.左側大腸に好発し,表面隆起型(IIa)あるいは無茎性隆起型(Is)を呈する小さな病変が多い.異型を伴う過形成性ポリープ(atypical hyperplastic polyp;AHP)は組織学的には腺底部腺管の鋸歯状変化,腺管の分岐や水平方向への変形,腺管の拡張などの異型を認めるが明らかな腫瘍とは診断できない病変でsessile serrated polypの中の非腫瘍性病変に相当する.右側大腸のIIaあるいはIsを呈する1cm以上の病変に多く,hyperplastic polyposis2)3)の中の1cm以上の病変やlarge hyperplastic polyp4)5)の多くはこの範疇に入ると考えられる.鋸歯状腺腫(serrated adenoma;SA)は組織学的に鋸歯状病変の中に明らかな腫瘍腺管の存在する病変でtraditional typeとsessile typeに分けられるがsessile typeはsessile serrated polypの中の腫瘍性病変に相当する.traditional type,sessile typeいずれも(1)鋸歯状構造(を呈する)腺腫のみで構成されるもの,(2)HP(traditional typeの場合)あるいはAHP(sessile typeの場合)に鋸歯状構造腺腫と通常型(管状,管状絨毛,絨毛)腺腫のいずれもまたはいずれかが混在するもの,(3)鋸歯状構造腺腫と通常型腺腫の混在するものに分けられる.また,癌併存率はsessile typeのほうがtraditional typeよりも高いが,それでも通常型腺腫の癌依存率より低いか同等と報告されている1)6).traditional typeは左側大腸に好発し,有茎性隆起型(Ip)または亜有茎性隆起型(Isp)を呈する病変が多いのに対しsessile typeは右側大腸に好発し,IIaまたはIsを呈する病変が多い.
参考文献
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