icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻4号

2007年04月発行

今月の主題 炎症性腸疾患(IBD)の上部消化管病変

主題

Crohn病における食道病変

著者: 浜田勉1 近藤健司1 高添正和1 斉藤聡1 阿部剛1 須崎愛1 河口貴昭1 北条裕美子1 北村成大2 奥田圭二3 田中靖3 鵜沼清仁3

所属機関: 1社会保険中央総合病院内科 2社会保険中央総合病院病理 3社会保険中央総合病院放射線科

ページ範囲:P.403 - P.416

文献概要

要旨 過去10年間にCrohn病で上部消化管内視鏡検査を実施した482例中23例(4.8%)に食道病変を認めた.有症状が19例,無症状が4例であった.検査時に胃病変を156例(32.4%)に,十二指腸病変を190例(39.4%)に認めた.食道病変は敷石状粘膜や粘膜橋形成が2例,縦列を示す潰瘍あるはびらんが5例,アフタ様潰瘍あるいはびらんが8例,多発するびらんや顆粒状小びらんが8例であった.1例に瘻孔形成を認めた.19例の食道病変に生検を施行し非乾酪性肉芽腫を1例(5.3%)に認めた.発病から食道病変が認められるまでの期間は10年以上が13例と多く,2例はCrohn病の初発病変として観察された.腸病変は20例が活動性であり,3例が非活動性であった.治療薬として,mesalazine粉末,PPI,infliximab,prednisoloneなどが自覚症状の改善に有効であった.

参考文献

1) Gobes K, Janssens J, Rutgeerts P, et al. Crohn's disease of the esophagus. J Clin Gastroenterol 8 : 31-37, 1986
2) Lenaerts C, Roy CC, Vaillancourt M, et al. High incidence of upper gastrointestinal tract involvement in children with Crohn disease. Pediatrics 83 : 777-781, 1989
3) 勝又伴栄,本間二郎,山本佳正,他.クローン病における上部消化管病変の生検と経過.Gastroenterol Endosc 29 : 2798-2803, 1987
4) 平賀裕子,田中信治,春間賢,他.食道病変を伴ったクローン病の1例.消化器内視鏡 7 : 1451-1456, 1995
5) 白井賢二,溝上裕士,白石貴久,他.不明熱で発生した食道病変を伴うCrohn病の1例.Gastroenterol Endosc 45 : 2197-2202, 2003
6) 工藤隆,堀江泰夫,千葉満郎,他.食道病変を認めたCrohn病の3例.Gastroenterol Endosc 37 : 2487-2493, 1995
7) Ohta M, Konno H, Kamiya K, et al. Crohn's disease of the esophagus, report of a case. Surg Today 30 : 262-267, 2000
8) 八尾恒良,桜井俊弘,松井敏幸,他.アフタ様病変のみのCrohn病.胃と腸 29 : 507-519, 1994
9) 光永裕子,笠貫順二,小山秀彦,他.食道病変の生検で肉芽腫を認めたアフタ様病変のみのクローン病の1例.Gastroenterol Endosc 38 : 2456-2460, 1996
10) 小畑寛純,橋本和明,天方義郎,他.食道病変を中心に発生したアフタ様病変のみのCrohn病の1例.胃と腸 36 : 1565-1571, 2001
11) 蓮池紫乃,岩下明徳,八尾恒良,他.Crohn病診断基準の問題点.胃と腸 36 : 175-182, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら