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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻5号

2007年04月発行

特集 消化管の拡大内視鏡観察2007

総論 3. 拡大観察と組織構築の関連

4) 大腸 (2)大腸腺口形態と三次元構造

著者: 田村智1 東谷芳史1 大西三朗1 古屋泰雄2

所属機関: 1高知大学医学部光学医療診療部 2高知大学医学部腫瘍局所制御学

ページ範囲:P.573 - P.579

文献概要

要旨 内視鏡的ないし外科的に切除された標本を,ホルマリン固定後に塩酸消化法にて単離してpit patternに対応する腺管の三次元構築を検討した.I型pit patternに対応する正常腺管は,表面平滑な試験管状であり分枝や結節は認めなかった.II型pit patternに対応する過形成腺管は,腺頸部で広く腺底部で細くなるような逆三角形や,腺底部から裂開するような分枝状であるが表面平滑で結節は認めなかった.IIIL型pit patternに対応する腫瘍腺管は,逆三角形ないし舌状であり,表面はI型やII型の対応腺管に比し粗ぞうで,小結節や切れ込みを伴う腺管も認めた.IIIs型pit patternに対応する腫瘍腺管は,表面はI型やII型の対応腺管に比しやや粗であるが分枝や結節のない単一な腺管で,腺底部(粘膜筋板に接する位置)で先細りし屈曲していた.IV型pit patternに対応する腫瘍腺管は,ここに提示した分枝を伴う長く伸びた腺口形態を反映して,結節を多く伴う表面粗ぞうな腺管であった.V型pit patternに対応する腺管は,統一性を欠く様々な構造を呈する,“奇怪な”形態の腺管の集合から成っていた.

参考文献

1) 林俊壱,鈴木裕,吉田英毅,他.pit pattern 診断―その歴史と実体顕微鏡による診断の実際.早期大腸癌 1:107-127,1997
2) Araki K, Ogata T, Kobayashi M, et al. A morphological study on the histogenesis of human colorectal hyperplastic polyps. Gastroenterology 109:1468-1474,1995
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5) 田村智,大西知子,大西三朗.大腸腫瘍の拡大内視鏡診断.Gastroenterol Endosc 48:1415-1424,2006
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7) Nakamura S, Kino I. Morphogenesis of minute adenomas in familial polyposis coli. J Natl Cancer Inst 73:41-49,1984

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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