文献詳細
特集 消化管の拡大内視鏡観察2007
総論 5. 拡大観察のコツ
文献概要
要旨 食道は管腔が狭く,心拍動や呼吸性移動の影響を強く受ける.安定した状況で短時間に手際よく拡大観察するためには様々なコツがある.先端フードの装着は不可欠であるが,病変に押し付けたまま次の視野に移ったり,病変内で吸引したりするのは禁忌である.拡大率を先に決めたうえで,スコープの位置を細かく調節して焦点を合わせる.まずは中拡大程度で病変全体を観察し,気になる血管変化が捉えられたら,さらに拡大率を上げて観察する.強拡大ではトランペットに軽くタッチして送気し,病変とレンズとの間を取るようにする.病変の大きさの計測には,拡大時に観察される範囲をあらかじめ確認しておく必要がある.唾液を飲み込まないようにすることや規則的に呼吸をするなど,被検者の協力も欠かせない.
参考文献
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