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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻5号

2007年04月発行

文献概要

特集 消化管の拡大内視鏡観察2007 総論 5. 拡大観察のコツ

5) 大腸―大腸腫瘍性病変に対して適切な治療方針に導く拡大内視鏡観察のコツを中心に

著者: 中村尚志1 山村彰彦2 大野康寛3 入口陽介3 小田丈二3 水谷勝3 篠原智明3 高柳聡3 冨野泰弘3 岸大輔3 松本潤4

所属機関: 1調布外科・消化器科内科クリニック 2東京都多摩がん検診センター検査科 3東京都多摩がん検診センター消化器科 4東京都立府中病院外科

ページ範囲:P.645 - P.654

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要旨 日常臨床の場で拡大内視鏡観察・撮影を良好な条件下で行うための手順と良い写真撮影を行う工夫および色素の使い分けなどについて症例の提示も含めて解説をした.すなわち,まず病変の洗浄から始まり,通常観察では病変全体像や病変周囲健常粘膜の性状の把握が大切である.次に行う色素観察では腺管開口部内に色素液を貯留させて腺管の開口部形態(pit pattern)を診断するコントラスト法(IIIL型やIV型pit patternを示す隆起型や表面隆起型病変の腫瘍か非腫瘍かの質的診断に最適)と腺管開口部は染色されず不染部として描出され,この不染部の形態を観察しpit pattern診断を行う染色法(コントラスト法で観察が困難なIIIs型やV型pit patternを明瞭に描出させることができる)の使い分けが大切である.染色法(クリスタルバイオレット染色下)の拡大観察では,特に通常・色素(インジゴカルミン撒布)内視鏡観察にてSM深部浸潤癌を疑う部分(領域性)の正確なpit pattern診断がその病変の治療方針決定に重要となるため,その領域性全体のpit patternを把握できる弱~中拡大像をよく観察・撮影し,内視鏡像・実体顕微鏡像・病理組織像との一対一対応ができるような内視鏡観察・撮影をするためのコツについて解説をした.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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