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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻5号

2007年04月発行

文献概要

特集 消化管の拡大内視鏡観察2007 各論 2. 胃

5) 拡大内視鏡による腫瘍の組織型診断

著者: 友利彰寿1 小山恒男1 高橋亜紀子1 堀田欣一1 宮田佳典1 北村陽子1 古立真一1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.730 - P.734

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要旨 胃癌はその組織型により発育進展の様相や生物学的悪性度が異なるため,検査や治療法の選択を行ううえで組織型診断は非常に重要である.組織型診断を行ううえで,通常内視鏡観察による肉眼型や色調が重要だが,通常内視鏡観察のみでは組織型の判断を誤ることもある.ズーム式拡大内視鏡やNBIが開発され,微細な表面構造や血管構造の観察が可能となった.表面構造と微細血管パターンの変化は,腫瘍・非腫瘍の鑑別や腫瘍の進展範囲診断に加え,組織型診断の一助となる.高~中分化型腺癌では,表面構造として密に増生したpit patternや絨毛様構造を呈し,微細血管パターンとしてnetworkを形成する口径不同,走行不整な血管増生を認める.分化度が悪くなるに従い構造の不整が増しnetworkは崩れてくる.一方,低分化型腺癌では,表面構造は無構造を呈し,微細血管パターンはnetworkを形成せず細かく縮れた異常血管が増生する.ただし,拡大内視鏡による所見は,肉眼型や表面びらんの有無により異なるため,通常内視鏡診断を含めた総合的診断が重要となる.

参考文献

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3) 田尻久雄,仲吉隆,斎藤彰一,他.胃粘膜の拡大観察―早期胃癌に対する拡大内視鏡観察による分化度診断.胃と腸 38:1701-1708,2003
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8) 友利彰寿,小山恒男,宮田佳典,他.陥凹性小胃癌の鑑別診断―拡大内視鏡と通常内視鏡の対比.胃と腸 41:795-803,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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