胃と腸42巻5号

2007年04月発行

特集 消化管の拡大内視鏡観察2007 各論 4. 大腸

5) 隆起型早期大腸癌の深達度診断

著者： 唐原健¹² 鶴田修¹² 河野弘志¹² 澤優子¹² 佐田通夫¹²

所属機関： ¹久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門 ²久留米大学医学部内科学講座消化器病センター

ページ範囲：P.809 - P.815

要旨　隆起型早期大腸癌は表面構造を保ったまま深部浸潤することも多いため，表面型と比較して深達度診断に悩む症例も少なくない．したがって，病変表層の腺管構築を観察する拡大内視鏡によるpit pattern診断は表面型に比べてより慎重に行う必要がある．今回，われわれが報告してきたVI型細分類を用いて肉眼型別に隆起型早期大腸癌のpit patternと深達度診断の関係を検討し，その結果をもとに1,000μm以上の深達度診断能を検討した．①Isp，Isともに，V型以外，VI型，VN型になるにつれ1,000μm以上の病変が明らかに増加し，輪郭明瞭なVI型と輪郭不明瞭なVI型の間に有意差を認めた．②Ispの全体正診率は93.3％，1,000μm以上の診断能は感度83.3％，特異度100％，Isの全体正診率は89.9％，1,000μm以上の診断能は感度79.2％，特異度95.6％であった．Isp，Isともに特異度が高く，深達度を浅読みする傾向がみられた．

参考文献

1) 津田純郎，菊池陽介，頼岡誠，他．大腸拡大内視鏡診断はどこまで病理診断に近づいたか―大腸上皮性腫瘍を対象として．胃と腸 34:1653-1664,1999

2) 喜多嶋和晃，藤盛孝博，藤井茂彦，他．大腸癌研究会による Ip・Isp 型大腸癌浸潤度判定の基準．胃と腸 37:1507-1517,2002

3) 喜多嶋和晃，藤井茂彦，藤盛孝博，他．大腸 sm の病理診断―1,000μm への道．消化器内視鏡 18:265-273,2006

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5) 工藤進英，笹島圭太，小林泰俊，他．IV型 pit pattern は箱根合意後に何が変わったか―VI 高度不整の定義について．早期大腸癌 10:185-193,2006

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7) 樫田博史，笹島圭太，小林泰俊，他．拡大観察による大腸 sm 癌の深達度診断．消化器内視鏡 18:293-301,2006

8) 辻雄一郎，鶴田修，河野弘志，他．Ip・Isp 型大腸癌の深達度診断―拡大内視鏡を中心として．胃と腸 37:1571-1581,2002

9) 唐原健，鶴田修，河野弘志，他．大腸 sm 癌における浸潤度の臨床診断精度―各種検査法の組み合わせによる診断．胃と腸 39:1387-1398,2004

10) 唐原健，鶴田修，河野弘志，他．拡大内視鏡による癌の深達度診断―(1)VI型 pit pattern 細分類の有用性．早期大腸癌 9:151-159,2005

11) 唐原健．早期大腸癌の拡大内視鏡の基本とコツ．消化器内視鏡 17:1703-1710,2005

12) 唐原健，鶴田修，河野弘志，他．隆起型早期大腸癌の深達度診断．田尻久雄，田中信治(編)．消化管拡大内視鏡診断の実際―観察のコツと診断のポイント．金原出版，pp170-185，2005

13) 唐原健，鶴田修，河野弘志，他．II. VI型 pit pattern における不整の程度と浸潤度．b. VI型 pit 細分類と病理組織構築の関係．早期大腸癌 10:207-214,2006

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