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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻6号

2007年05月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

腸結核に合併し特異な形態を呈した大腸癌の1例

著者: 小林拓12 岩男泰1 杉野吉則3 鳥居幸夫3 井上詠1 高石官均1 金井隆典14 緒方晴彦1 日比紀文1 向井萬起男5

所属機関: 1慶應義塾大学医学部消化器内科 2名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学 3慶應義塾大学医学部放射線診断科 4現 ; 東京医科歯科大学医学部消化器内科 5慶應義塾大学医学部病理診断部

ページ範囲:P.1033 - P.1040

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要旨 症例は80歳代,女性.汎発性帯状疱疹の基礎疾患検索のため消化管精査が行われた.大腸X線・内視鏡検査にて,回盲弁の開大,回腸終末部から下行結腸まで腸管の短縮,偽憩室・萎縮瘢痕帯形成を認めたため腸結核が疑われた.さらに,横行結腸遠位および下行結腸近位部に腫瘍性病変を認め,横行結腸の一部には陰影欠損も伴っており大腸癌の合併と診断,結腸亜全摘術が施行された.病理学的には,下行結腸の絨毛状病変部は腺腫内癌で粘膜内にとどまっていたが,横行結腸の結節集簇様病変部では漿膜下層へ浸潤する高分化型腺癌であった.背景粘膜は腸結核に矛盾しない所見であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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