胃と腸42巻7号

2007年06月発行

今月の主題 大腸ESDの現況と将来展望

主題

大腸ESDのコツとピットフォール―切除手順の刷新と困難例への対処

著者： 豊永高史¹ 廣岡智臣¹ 西野栄世²

所属機関： ¹岸和田徳洲会病院消化器内科 ²岸和田徳洲会病院病理科

ページ範囲：P.1073 - P.1083

文献概要

要旨　大腸においても，適切なデバイス選択と切除手順により安全にESDを施行することが可能になった．しかし，対処すべき局面が多々あり難易度は依然として高い．大腸ESD最大のポイントはいち早く順方向からのアプローチ経路を確保することである．われわれはこの認識に至り，最初に遠位（口）側の粘膜切開およびトリミングを終了しておく手順から，病変の近位（肛門）側の粘膜切開と剥離を先に行う手順に変更した．本稿では大腸ESDの手技の実際と困難状況への対処法を詳述した．

参考文献

1) Yahagi N, Fujishiro M, Imagawa A, et al. Endoscopic submucosal dissection for the reliable en-block resection of colorectal mucosal tumors. Digestive Endoscopy 16: S89-S92,2004

2) 豊永高史，西野栄世，廣岡大司，他．大腸病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の導入と処置具の選択．消化器内視鏡 16:1473-1480,2004

3) 豊永高史，望月和美，木下博子．内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の実際と介助のポイント．総合消化器ケア 9:12-23,2004

4) 豊永高史．ESD のコツ―偶発症とその対策 ; 手技的なものを中心に．消化器内視鏡 17:639-649,2005

5) 豊永高史，西野栄世，廣岡大司，他．表面型大腸腫瘍に対する ESD の基本とコツ．消化器内視鏡 17:1739-1743,2005

6) 豊永高史． ESD アトラス―処置具の選択と部位別攻略法．金原出版，2006

7) Toyonaga T, Nishino E, Hirooka T, et al. Use of short needle knife for esophageal endoscopic submucosal dissection. Digestive Endoscopy 17:240-246,2005

8) Toyonaga T, Nishino E, Hirooka T, et al. Invention of water jet short needle knives for endoscopic submucosal dissection. Endoscopy 37: A19,2005

9) 豊永高史，西野栄世，廣岡大司．送水機能付きショートニードルナイフ(Flushknife)の開発．消化器内視鏡 17:2167-2174,2005

10) 豊永高史，西野栄世．大腸ESDのコツとピットフォール―胃と大腸の違いを含めて ; Flush ナイフ．早期大腸癌 14:507-511,2006

11) 豊永高史，杉山健．高周波発生装置の使用機種別特徴と基本設定(4)ICC200および350(ERBE) : 消化器内視鏡治療における高周波発生装置の使い方と注意点．日本メディカルセンター，pp45-52,2005

12) 豊永高史，西野栄世，廣岡大司．いわゆる側方発育型大腸腫瘍の治療―私はこう考える．胃と腸 40:1836-1839,2005

13) 豊永高史，西野栄世，廣岡大司．大腸広基性腫瘍に対する内視鏡治療　1. 内視鏡的粘膜下層剥離術(1)処置具選択と ESD の適応．大腸疾患 NOW2006．日本メディカルセンター，pp51-59,2006