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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻7号

2007年06月発行

文献概要

今月の主題 大腸ESDの現況と将来展望 主題

大腸ESDの偶発症とその対策

著者: 藤城光弘1 角嶋直美1 小田島慎也1 村木洋介1 小野敏嗣1 後藤修1 建石綾子1 小俣政男1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科消化器内科

ページ範囲:P.1127 - P.1134

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要旨 2000年7月からの6年6か月間に当院でESDを施行した,大腸上皮性腫瘍(カルチノイドは除く)225症例240病変における偶発症発生頻度は,5.8%(240病変中14病変)であり,その内訳は,輸血例1例,後出血例2例,術中穿通・穿孔例12例(輸血例と同一症例1例を含む),遅発性穿孔例1例であった.出血例は内視鏡的クリップ止血,術中穿通・穿孔例は内視鏡的クリップ閉鎖後,保存的治療で改善しており,遅発性穿孔例1例以外は緊急手術を回避可能であった.以上の結果から,大腸ESDの偶発症は,特別な症例を除けば,事前の万全の備えと適切な偶発症発症時の対応により,保存的治療可能であると考えられた.しかし,外科医との連絡を密にし,全身状態の十分なモニタリングが必要不可欠であり,増悪徴候がみられれば期を逸することなく外科的処置を施すなどの迅速な対応が要求される.

参考文献

1) Fujishiro M. Endoscopic submucosal dissection for stomach neoplasms. World J Gastroenterol 12:5108-5112,2006
2) 第67回日本消化器内視鏡学会総会ビデオシンポジウム2.Gastroenterol Endosc 46(Suppl) :534-538,2004
3) Fujishiro M, Yahagi N, Kakushima N, et al. Management of bleeding concerning endoscopic submucosal dissection with the flex knife for stomach neoplasm. Dig Endosc 18: S119-S122,2006
4) 藤城光弘,矢作直久,角嶋直美,他.内視鏡的縫合法 留置スネアとクリップを用いた巾着縫合法.臨牀消化器内科 19:1675-1680,2004
5) Fujishiro M, Yahagi N, Nakamura M, et al. Successful nonsurgical management of perforation complicating endoscopic submucosal dissection of gastrointestinal epithelial neoplasms. Endoscopy 38:1001-1006,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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