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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻9号

2007年08月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌内視鏡切除後の長期成績 序説

食道表在癌内視鏡切除後の長期成績

著者: 吉田操1

所属機関: 1東京都保健医療公社荏原病院

ページ範囲:P.1307 - P.1308

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 今から30~40年前,食道癌の診療は極めて困難であった.大部分の腫瘍は大きく,狭窄を形成していた.患者は飲み込んだ固形物の通過が困難となっても,水で流し込む,柔らかな食べ物に変更するなどの工夫をし,なかなか病院へ行かなかった.とうとう嘔吐が始まると,対処の仕様がなくなり,はじめて医師のもとを訪ねることとなった.このころには,体重も顕著に減少しており,栄養状態は不良であるにもかかわらず,手術以外に有効な治療法がなかった.高齢,低栄養,しばしば伴う合併疾患は,大きな侵襲を伴う食道癌根治術のリスクを高めていた.リスク低減のため,手術時間は自ずと制限され,手術の根治性もまた低くならざるを得なかった.手術後の再発はしばしば発生した.局所再発,頸部・上縦隔リンパ節再発そして肺,肝や骨などの遠隔臓器転移もしばしば生じ,有効な治療が行えない時代が長く続いた.このような環境の中で外科医としての生活を送っていたわれわれには,胃癌における早期癌の診断学・治療学の確立,その優れた治療成績は,食道癌についても早期診断が治療成績を劇的に向上させる可能性を強烈に示唆した.

参考文献

1)山形敞一,石川誠,大柴三郎,他.主として細胞診によって診断された早期食道癌の一例.胃と腸 1:259-266, 1966
2)中山恒明,羽生富士夫,岩塚迪雄,他.食道早期癌の一例.外科診療 8:1224-1226, 1966
3) Endo M, Ide H(eds). Endoscopic Staining In Early Diagnosis of Esophageal Cancer. Japan Scientific Societies Press, pp 5-10, 1991
4)内視鏡的食道粘膜切除術.胃と腸 28:123-234, 1993
5)食道疾患研究会(編).臨床・病理食道癌取扱い規約,第8版.金原出版,1992
6) Hanashi T, Monmma K, Yoshida M, et al. Clinical evaluation on treatments for mucosal cancer of the esophagus. Disease of the esophagus 9:203-207, 1996
7)幕内博康,島田英雄,千野修,他.m3・sm1食道癌に対するEMRの可能性.胃と腸 33:993-1002, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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