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今月の主題 食道表在癌内視鏡切除後の長期成績 序説
食道表在癌内視鏡切除後の長期成績
著者: 吉田操1
所属機関: 1東京都保健医療公社荏原病院
ページ範囲:P.1307 - P.1308
文献購入ページに移動 今から30~40年前,食道癌の診療は極めて困難であった.大部分の腫瘍は大きく,狭窄を形成していた.患者は飲み込んだ固形物の通過が困難となっても,水で流し込む,柔らかな食べ物に変更するなどの工夫をし,なかなか病院へ行かなかった.とうとう嘔吐が始まると,対処の仕様がなくなり,はじめて医師のもとを訪ねることとなった.このころには,体重も顕著に減少しており,栄養状態は不良であるにもかかわらず,手術以外に有効な治療法がなかった.高齢,低栄養,しばしば伴う合併疾患は,大きな侵襲を伴う食道癌根治術のリスクを高めていた.リスク低減のため,手術時間は自ずと制限され,手術の根治性もまた低くならざるを得なかった.手術後の再発はしばしば発生した.局所再発,頸部・上縦隔リンパ節再発そして肺,肝や骨などの遠隔臓器転移もしばしば生じ,有効な治療が行えない時代が長く続いた.このような環境の中で外科医としての生活を送っていたわれわれには,胃癌における早期癌の診断学・治療学の確立,その優れた治療成績は,食道癌についても早期診断が治療成績を劇的に向上させる可能性を強烈に示唆した.
参考文献
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