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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻9号

2007年08月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌内視鏡切除後の長期成績 主題

食道T1a-MM・SM1癌内視鏡切除後の経過

著者: 門馬久美子1 吉田操2 藤原純子1 江頭秀人3 来間佐和子3 江川直人3 三浦昭順4 加藤剛4 出江洋介4 根本哲生5 船田信顕5 葉梨智子6

所属機関: 1東京都立駒込病院内視鏡科 2東京都保健医療公社荏原病院 3東京都立駒込病院内科 4東京都立駒込病院外科 5東京都立駒込病院病理科 6東海大学医学部消化器外科

ページ範囲:P.1341 - P.1354

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要旨 食道T1a-MM・SM1癌内視鏡治療後の経過.〔目的〕臨床的N0症例を対象にEMRを行い,組織学的に深達度T1a-MMまたはSM1と判定された症例に対して組織学的所見に基づいて一定の判断基準を設け,追加治療を行った.その治療成績を検討し,治療方針の妥当性を検討した.〔対象と方法〕87例(組織学的深達度T1a-MM:65例とSM1:22例)を検討対象とした.追加治療の適応基準は幕内の提案を採用した.病理肉眼所見で病型が0-I,0-III,0-IIc+IIaのものと,病理組織所見で脈管侵襲(+),浸潤様式(infγ),滴状浸潤(+),分化度(低分化型)などの場合は追加治療必要症例とし,それ以外の場合は経過追跡の適応とした.治療法の選択は患者との相談で決定し,CRT・RTまたは根治手術のいずれかを選択した.追加治療の適応であるにもかかわらず,EMR後の治療を望まなかった症例は治療拒否例とし,経過追跡を行った.〔結果〕経過追跡群は47例(T1a-MM:44,SM1:3)で,追加治療はCRT・RT群15例(T1a-MM:7,SM1:8),手術群7例(T1a-MM:1,SM1:6),治療拒否群は18例(T1a-MM:13,SM1:5)であった.経過追跡群には局所再発6例(12.7%)リンパ節再発1例(2.1%)を認めた.追加治療症例における再発はなかった.すなわちCRT・RT群では再発はなく,手術群の2症例(28.5%)で組織学的にリンパ節転移を確認したが術後再発はなかった.この症例は組織学的にリンパ管侵襲2+であり,このような症例には手術をすべきである.治療拒否群においては2例(11%)に転移再発(骨転移1例とリンパ節転移1例)を確認した.経過追跡群における局所再発は分割切除症例で,再EMR 5例とRT 1例を行い治癒した.EMR後の転移再発は経過追跡群2.1%,追加治療群0%,治療拒否群11%であった.〔結論〕組織学的深達度T1a-MMまたはSM1症例に対するEMR後の追加治療を病理肉眼病型ならびに病理組織所見(脈管侵襲,浸潤様式,滴状浸潤,分化度)を参考に,追加治療の適応を決定することは妥当であると考えられる.なかでも脈管侵襲中等度症例には根治手術を適用すべきである.

参考文献

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2)小山恒男,宮田佳典,島谷茂樹,他.第46回食道色素研究会アンケート調査報告―転移のあったm3・sm1食道癌の特徴.胃と腸 37:71-74, 2002
3)藤田博正,末吉晋,山名秀明,他.外科の立場からみたm3・sm1食道癌.胃と腸 33:1003-1010, 1998
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5)幕内博康,島田英雄,千野修,他.m3・sm1食道癌に対するEMRの可能性.胃と腸 33:993-1002, 1998
6)江頭秀人,柳澤昭夫,加藤洋.m3食道癌におけるリンパ節転移予測因子―滴状浸潤(droplet infiltration)の有用性.Gastroenterol Endosc 46:2086-2094, 2006
7)幕内博康,島田英雄,千野修,他.多発食道癌とEMR.胃と腸 36:1027-1038, 2001
8)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.多発食道癌と粘膜切除.胃と腸 36:1039-1047, 2001
9)門馬久美子,吉田操,川田研郎,他.中・下咽頭癌の通常内視鏡観察.胃と腸 40:1239-1254, 2005
10)武藤学,落合淳志,吉田茂昭.中・下咽頭表在癌の発見と質的診断におけるNBIの有用性.田尻久雄(編).特殊光による内視鏡アトラス―NBI・AFI・IRI診断の最前線.日本メディカルセンター,pp 24-34, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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