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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻9号

2007年08月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌内視鏡切除後の長期成績 主題

異時性多発食道癌に対する内視鏡治療―EMR/ESDを中心に

著者: 井上晴洋1 加賀まこと1 南ひとみ1 佐藤嘉高1 菅谷聡1 木田裕之1 長山裕之1 里館均1 工藤進英1 浜谷茂治2 塩川章2

所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院消化器センター 2昭和大学横浜市北部病院病理部

ページ範囲:P.1375 - P.1380

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要旨 開院以来7年間にわれわれの経験した食道癌のEMR/ESD症例72例中で同時性・異時性の多発食道癌は11例(15%)であった.その中で異時性多発食道癌は5例(45%)であった.多発食道癌の病巣数は2病巣までが11例中8例(73%)であり,3病巣までが11例中10例(91%)であった.いずれの症例もEMR/ESDが繰り返して施行されており,cancer freeの状態への導入が可能であった(手術や放射線治療を行った症例はなかった).その中で,1例のみEMR/ESDを8回反復した症例を経験したが,結局,EMR/ESDの反復で治療を完了した.これらの経験から,T1-LPMまでの病巣である限り複数個の病変があっても,EMR/ESDの反復治療により,極力,食道温存を図ることが可能であると考えられた.

参考文献

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3)門馬久美子,榊信廣,吉田操.食道粘膜癌の内視鏡的治療―内視鏡的粘膜切除(mucosectomy)を中心に.消化器内視鏡 2:501-506, 1990
4)井上晴洋,竹下公矢,長浜雄志,他.早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除術の実際.胃と腸 28:161-169, 1993
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7)井上晴洋,佐藤嘉高,加澤玉恵,他.切開・剥離法の工夫―私はこうしている:三角ナイフを用いた切開・剥離法.胃と腸 39:53-56, 2004
8)幕内博康,島田英雄,水谷郷一,他.内視鏡的食道粘膜切除術後長期経過例の検討―異時性多発癌を中心に.胃と腸 31:1223-1233, 1996
9)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除の実際―2チャンネル法.胃と腸 28:141-151, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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