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文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻9号

2007年08月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌内視鏡切除後の長期成績 主題症例

m3食道表在癌に対する内視鏡的切除後の追加化学放射線療法から10年後に放射線性胸膜炎により死亡した1例

著者: 篠原知明1 小山恒男1 宮田佳典1 友利彰寿1 堀田欣一1 高橋亜紀子1 古立真一1 北村陽子1 新井陽子1 山里哲郎1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.1395 - P.1399

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要旨 症例は61歳の女性.人間ドックの上部内視鏡検査にて食道病変が発見された.0-IIc型食道癌,深達度m1~2と診断し,内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理組織診断はSCC,m3(浸潤幅2,800μm),ly0,v0,0-IIc,Mt,Post,25×15mmであった.追加治療として化学放射線療法(FP療法+40Gy)を施行し,その後再発は認めなかった.追加治療から8年後に労作時呼吸困難と難治性胸水が出現し,放射線療法の晩期毒性による放射線性胸膜炎と診断した.対症的に胸水ドレナージを繰り返し施行したが,次第に呼吸不全が進行し,呼吸器症状出現から1年11か月後に死亡した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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