icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻9号

2007年08月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

上皮内伸展を伴い粘膜下腫瘍様の形態を呈した食道低分化型扁平上皮癌の1例

著者: 高橋宏明1 高丸博之1 田沼徳真1 小平純一1 松本岳士1 中里友彦1 穂刈格1 塚越洋元1 西田靖仙2 細川正夫2 藤田昌宏3 佐藤利宏3 今村哲理4

所属機関: 1恵佑会札幌病院消化器内科 2恵佑会札幌病院外科 3恵佑会臨床病理研究所 4札幌厚生病院胃腸科

ページ範囲:P.1403 - P.1409

文献購入ページに移動
要旨 患者は78歳,女性.約1か月前からの食事のつかえ感を主訴に近医受診し,食道腫瘍を指摘されて当院紹介となった.上部消化管造影および内視鏡検査所見では胸部中部食道に径5cmの粘膜下腫瘍様隆起を認め,さらに内視鏡所見でその周囲に上皮内伸展を思わせるヨード不染帯を認めた.生検にて低分化型扁平上皮癌と診断し,右開胸開腹食道亜全摘術を施行した.病理診断では,低分化型扁平上皮癌で深達度sm3,脈管侵襲陽性で,1,2群リンパ節への転移を認めた.切除標本上も中央の隆起部分は完全に非腫瘍性上皮に覆われているものの,周囲の上皮内伸展部は通常の上皮内癌の形態をとっており,比較的まれな形態と考えられた.

参考文献

1)松田圭二,渡辺英伸,桑原史郎,他.粘膜下腫瘍様の食道表在癌―病理形態学的特徴.胃と腸 32:671-689, 1997
2) The Registration Committee for Esophageal Cancer(ed). Comprehensive Registry of Esophageal Cancer in Japan(1998, 1999)&Long-term Results of Esophagectomy in Japan(1988-1997), 3rd Edition. The Japanese Society for Esophageal Diseases, 2002
3)清水勇一,目良清美,高正光春,他.粘膜下腫瘍様の形態を呈した食道表在癌の3例.胃と腸 32:751-758, 1997
4)小林大輔,滝澤登一郎,河野辰幸,他.粘膜下腫瘍様形態を示した食道癌―病理学的特徴.胃と腸 38:1496-1504, 2003
5)幕内博康,島田英雄,千野修,他.粘膜下腫瘍様の食道表在癌の内視鏡診断.胃と腸 32:701-709, 1997
6)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.粘膜下腫瘍様の形態を示した食道表在癌―臨床および画像的特徴,鑑別診断.胃と腸 38:1505-1518, 2003
7)坂本英至,寺崎正起,岡本恭和,他.食道癌の随伴病変に関する臨床病理学的検討.癌の臨床 47:731-735, 2001
8)細川正夫,本間義崇,福田直也,他.特殊組織型の食道癌―治療の立場から.胃と腸 40:363-370, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら