icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸42巻9号

2007年08月発行

文献概要

症例

下血を契機にダブルバルーン内視鏡で診断しえた転移性小腸腫瘍の1例

著者: 中原伸1 緒方伸一1 萬年孝太郎1 岸川圭嗣2 森大輔3 山崎文朗3 松本幸一4 梶原哲郎4 下田悠一郎4 藤本一眞5 関剛彦6 宗祐人6

所属機関: 1佐賀県立病院好生館消化器内科 2佐賀県立病院好生館外科 3佐賀県立病院好生館病理検査科 4佐賀県立病院好生館放射線科 5佐賀大学医学部内科 6福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.1426 - P.1430

文献購入ページに移動
要旨 症例は72歳,男性.69歳時に右腎細胞癌手術の既往があり,糖尿病性腎不全のため血液透析中であった.2005年2月に下血を認め,入院で上部・下部消化管内視鏡検査等の精査をしたが出血源は不明であった.発症から9日後より再出血し,血管造影検査と腹部CT検査で小腸に出血源が疑われ,ダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行した.空腸に粘膜下腫瘍様隆起病変を認め,生検による病理結果より転移性小腸腫瘍(腎細胞癌)と診断され,再出血予防目的で小腸切除術を施行した.腎細胞癌からの転移性小腸腫瘍はまれな症例と考えられたので文献的考察を加えて報告する.

参考文献

1)川井啓市,馬場忠雄,赤坂裕三,他.わが国における小腸疾患の現状と展望.胃と腸 11:145-155, 1976
2)塩野知志,正岡俊明,佐藤徹,他.PET-CTにより推測可能であった肺癌小腸転移の1例.胸部外科 59:426-429, 2006
3)安東聡,福原喜春,宮崎淳,他.下血を契機に発見された,両側副腎,小腸転移を伴った腎細胞癌の1例.日泌尿会誌 97:64-67, 2006
4)沖野秀宣,品川裕治,吉富聡一,他.胃癌治癒切除4年9か月後にイレウスにて発症した孤立性転移性小腸癌の1切除例.日消外会誌 39:105-110, 2006
5)岩下生久子,牛尾恭輔,岩下明徳,他.転移性小腸腫瘍の画像診断.胃と腸 38:1799-1813, 2003
6)高安久雄,阿曽佳郎,星野嘉伸,他.泌尿器悪性腫瘍の転移について.日泌尿会誌 61:1097-1101, 1970
7) Nakano E, Fujioka H, Sonoda T, et al. Late recurrence of renal cell carcinoma after nephrectomy. Eur Urol 10:347-349, 1984
8)大西哲朗,飯塚典男,町田豊平,他.腎摘後5年以上を経過して転移をきたした腎細胞癌症例の臨床的検討.J Jpn Soc Cancer Ther 22:2394-2399, 1984
9)山際裕史,洞山典久,斉木和生.胃腸管への転移をきたした肺癌.綜合臨床 25:1396-1401, 1976
10) Viadana E, Bross IDJ, Pickren JW. The metastatic spread of kidney and prostate cancers in man. Neoplasma 23:323-332, 1976

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?