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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻1号

2008年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌ESD―適応拡大を求めて 主題

早期胃癌ESD適応拡大病変の長期予後

著者: 高橋亜紀子1 小山恒男1 宮田佳典1 友利彰寿1 堀田欣一1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.81 - P.89

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要旨 2000年1月から2004年5月までにESDを施行した早期胃癌232病変のうち,3年以上経過を追うことができた適応内群104例108病変・適応拡大群(分化型)71例74病変・適応拡大群(未分化型)5例5病変を対象とした.適応拡大群(分化型)は①M癌・腫瘍長径2.1cm以上・潰瘍非合併〔以下UL(-)〕・脈管侵襲陰性,②M癌・腫瘍長径3cm以下・潰瘍合併〔以下UL(+)〕・脈管侵襲陰性,③SM1(粘膜筋板の下縁から500μm以下)癌・腫瘍長径3cm以下・ULの有無を問わないと定義し,適応拡大群(未分化型)はM癌・腫瘍長径2cm以下・UL(-)・脈管侵襲陰性と定義し,適応内群と適応拡大群(分化型),適応拡大群(未分化型)をそれぞれ比較検討した.一括完全切除率は適応内群92.6%,適応拡大群(分化型)90.5%,適応拡大群(未分化型)60.0%であり3群間に有意差はなかった.局所再発率は適応内群で0.9%,他群では0%であり3群間に有意差はなかった.遠隔転移は3群ともになかった.他病死を除く3年生存率はともに100%であった.適応拡大群(分化型)は適応内群の治療成績・長期予後と同等であり,内視鏡治療可能であると考えられた.また適応拡大群(未分化型)も適応拡大群(分化型)の治療成績・長期予後と同等であると考えられたが,症例数が少ないため今後,症例を重ね検討が必要と考えられた.

参考文献

1) Gotoda T, Sasako M, Yanagisawa A, et al. Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer ― Estimation with a large number of cases at two large centers. Gastric Cancer 3:219-225, 2000
2) 日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン,2版.金原出版,2004
3) 笹子三津留,木下平,丸山圭一.早期胃癌の予後.胃と腸 28:139-146, 1993
4) 中野和夫,柳澤昭夫,宇都出公也,他.未分化型胃癌に対する内視鏡的粘膜切除(EMR)の適応限界―病理の立場から.胃と腸 30:1289-1294, 1995
5) 滝沢耕平,下田忠和,中西幸浩,他.早期胃癌に対する内視鏡的切除の適応拡大―未分化型腺癌について.胃と腸 41:9-17, 2006
6) 浜田勉,近藤健司,板垣雪絵,他.微小未分化型胃癌の内視鏡的切除の成績.胃と腸 30:1279-1287, 1995
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8) 池原久朝,後藤田卓志,小田一郎,他.早期胃癌ESD後の長期経過の検討.胃と腸 41:91-98, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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