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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻10号

2008年09月発行

文献概要

今月の主題 早期食道癌の診断─最近の進歩 主題

早期食道癌存在診断・質的診断の進歩―経鼻内視鏡の立場から

著者: 都甲昭彦1

所属機関: 1都甲クリニック

ページ範囲:P.1443 - P.1451

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要旨 経鼻内視鏡検査は経口内視鏡検査に比べて苦痛が少ないという理由で,最近急速に普及しつつある.しかし,経口内視鏡に比べて画質や明るさ,吸引能力などの点で明らかに劣る経鼻内視鏡の診断能に疑問の声も多い.そのような不利な条件で早期食道癌を発見するためには,食道観察を妨げる粘液と麻酔用ゼリーを極力排除する前処置や咽頭反射を誘発しない挿入法の工夫が必要であった.その結果,当院で施行した経鼻内視鏡4,001例中6例(0.15%)に食道癌が発見され,そのうち早期癌は4例で,すべて内視鏡的に切除された.また早期胃癌も26例発見され,そのうち15例(58%)は10mm以下の小胃癌であった.いまだ画質などに問題はあるものの,経鼻内視鏡の性能は著しく向上してきており,今後スクリーニング内視鏡のニュースタンダードとなりうると思われた.

参考文献

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2)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.これからの食道早期癌拾い上げ診断─NBIの立場から.胃と腸 41 : 151-164, 2006
3)小林正夫,三崎文夫,富田照見,他.胃癌検診における経鼻内視鏡検査の現況.日消がん検診会誌 44 : 623-630, 2006
4)小林正夫,三崎文夫,富田照見,他.経鼻内視鏡導入のABC.消化器内視鏡 19 : 565-572, 2007
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6)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.粘膜癌を発見するための内視鏡検査.胃と腸 30 : 337-345, 1995
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8)藤田寛. 最新の内視鏡機器の解説─フジノン株式会社.胃と腸 42 : 539-544, 2007
9)原田直彦,荻野治栄,淀江賢太郎,他.治療への応用の実際.消化器内視鏡 19 : 619-623, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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