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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻11号

2008年10月発行

文献概要

今月の主題 感染性腸炎─最近の動向と知見 主題 感染性腸炎の最近の知見

アメーバ性大腸炎

著者: 五十嵐正広1 浦上尚之2 岸原輝仁1 倉岡賢輔2 石山晃世志1 小川大志1 千野晶子2 文園豊2

所属機関: 1癌研有明病院内視鏡診療部 2癌研有明病院消化器内科

ページ範囲:P.1645 - P.1652

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要旨 アメーバ性大腸炎は,STDの代表的な疾患の1つで最近,増加傾向を示している.その原因は,以前から指摘されている男性同性愛者間の感染者のほか,性風俗を介する異性間感染者の増加が大きな要因と推測される.当院で経験した19例での分析では,異性間感染が11/19(58%),同性愛者間感染3/19(16%),海外での感染6/19(32%)などであった.19例中2例(11%)に肝膿瘍を認めた.病変の分布は盲腸19/19(100%),直腸12/19(63%)に多く,診断は内視鏡所見から疑われ,粘液の鏡検,生検組織診断,血清抗体価で確定診断され,その診断率はそれぞれ88%,79%,71%であった.3者を組み合わせることで診断率の向上が期待される.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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