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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻11号

2008年10月発行

今月の主題 感染性腸炎─最近の動向と知見

主題 感染性腸炎の最近の知見

サイトメガロウイルス腸炎

著者: 大川清孝1 上田渉1 佐野弘治1 松井佐織1 田中敏宏1 久保勇記2 井上健2 青木哲哉3

所属機関: 1大阪市立総合医療センター消化器内科 2大阪市立総合医療センター病理部 3大阪市立住吉市民病院内科

ページ範囲:P.1653 - P.1662

文献概要

要旨 サイトメガロウイルス(CMV)腸炎の臨床像について述べた.CMV腸炎は増加しており,多くは免疫不全の患者に生じる.症状は下血・血便と下痢が多く,小腸病変を主とする場合は穿孔や下血が多い.診断にはCMV antigenemiaの測定や組織核封入体の検出,免疫組織化学による組織CMV抗原の検出が有用である.しかし,これらが陰性でもCMV腸炎が疑わしい場合は,血中と組織中のPCRによるDNAの測定を行う必要がある.内視鏡所見は打ち抜き様潰瘍が最も多いが,浅い不整形潰瘍,輪状傾向潰瘍,帯状潰瘍,縦走潰瘍,アフタ様潰瘍などもみられる.治療はganciclovirを用いるが,その効果は宿主の免疫能に依存する.

参考文献

1)栄鶴義人.サイトメガロウイルス感染症.今日の移植 18 : 25-31, 2005
2)大川清孝.サイトメガロウイルス腸炎.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z.医学書院,pp106-111, 2008
3)Ljungman P, Plotkin SA. Workshop on CMV disease-definitions, clinical severity-scores, and new syndromes. Scnd J Infect Dis 99(Suppl) : 87, 1995
4)長嶋雄一,飯田三雄,平川克哉,他.サイトメガロウイルス腸炎の3例.Gastroenterol Endosc 44 : 684-689, 2002
5)小沢俊文,渡辺秀紀,奥村浩二,他 : 門脈ガス血症を合併したサイトメガロウイルス腸炎の1例.Gastroenterol Endosc 49 : 1289-1296, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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