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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻12号

2008年11月発行

今月の主題 早期胃癌発育の新たな分析─内視鏡経過例の遡及的検討から

主題

内視鏡経過例における胃癌発育の遡及的検討―背景粘膜からみて

著者: 中島寛隆1 長浜隆司1 大倉康男2 山本栄篤1 吉田諭史1 馬場保昌1 吉田操1

所属機関: 1早期胃癌検診協会中央診療所 2杏林大学医学部病理学

ページ範囲:P.1765 - P.1776

文献概要

要旨 早期胃癌の内視鏡画像を遡及的に検討し,特に背景粘膜からみた早期胃癌の自然史について考察した.対象は41病変,平均観察期間は2.4年であった.最終病理診断で粘膜内癌の診断を得たものは34病変(82.9%).粘膜内癌の間は発育速度が緩やかで,背景粘膜の違いによって明らかな差異は生じないものと考えられた.また,癌の初期像を検討したところ,背景粘膜が固有腺領域の外側(F,f領域の外側)では,隆起型の初期像は顆粒状の粘膜隆起を示し,陥凹型の初期像は発赤調の極めて浅い陥凹を呈した.これに対し固有腺領域(F,f領域内部)は,未分化型は3病変のみであり,遡及的な内視鏡像の検討でその初期像を同定することが困難であった.早期胃癌の自然史の全貌を解明するには,未分化型微小胃癌の診断方法を確立することが今後の課題であると考えられた.

参考文献

1)中村恭一.胃癌の自然史─“胃癌の一生".胃と腸 27 : 11-15, 1992
2)西俣寛人,瀬戸山史朗,西俣嘉人,他.胃癌の自然史─噴門部癌の発育進展形式.胃と腸 27 : 25- 38, 1992
3)西澤護,野本一夫,上野正己,他.固定集団における胃癌の自然史─X線診断の立場より : 特に陥凹性sm癌を中心として.胃と腸 27 : 16-24, 1992
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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