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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻12号

2008年11月発行

今月の主題 早期胃癌発育の新たな分析─内視鏡経過例の遡及的検討から

主題

早期胃癌の自然史に関する前向き研究―胃癌診療への考察

著者: 津熊秀明1 井岡亜希子1 飯石浩康2 山崎秀男3

所属機関: 1大阪府立成人病センター調査部 2大阪府立成人病センター消化器内科 3大阪がん予防検診センター

ページ範囲:P.1777 - P.1783

文献概要

要旨 早期胃癌の自然史を明らかにするため,内視鏡で早期胃癌,病理学的に癌と診断されながら,切除されなかったか,切除が診断から6か月以上遅れた症例を検索し,それより同定した80例の前向き研究を行った.病巣の経過観察は61例において可能であった.早期胃癌が進行癌に進展する割合は次第に増加し,44か月までに50%が進行癌に進展した.5年累積進展率は64.7%であった.46例においては胃癌切除が実施されなかった.胃癌で死亡した場合と死因不明例を“死亡",他の原因で死亡した場合を“生存打ち切り"として,非切除早期胃癌の生存率を算出した.5年累積生存率は60.5%であった.早期胃癌の大多数は“癌もどき"でなく,放置すれば進行癌に進展し,やがては胃癌死すると結論した.

参考文献

1)Tsukuma H, Mishima T, Oshima A. Prospective study of “early" gastric cancer. Int J Cancer 31 : 421- 426, 1983
2)Tsukuma H, Oshima A, Narahara H, et al. Natural history of early gastric cancer : a non - concurrent, long term, follow up study. Gut 47 : 618 - 621, 2000
3)Everett SM, Axon AT. Early gastric cancer : disease or pseudo - disease? Lancet 351 : 1350 - 1352, 1998
4)Staël von Holstein C, Eriksson S, Huldt B, et al. Endoscopic screening during 17 years for gastric stump carcinoma. A prospective clinical trial. Scand J Gastroenterol 26 : 1020 - 1026, 1991
5)平成17年度 厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班.有効性評価に基づく胃癌検診ガイドライン.2006年(http://minds.jcqhc.or.jp/0030_ContentsTop.html#G0000072_GL)
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7)濱島ちさと.胃癌検診 : 最新のエビデンスについて.2007年(http://minds.jcqhc.or.jp/G0000108_T0001221_0003.html)
8)深尾彰.癌検診のエビデンス─胃癌検診.EBMジャーナル 8 : 172 - 177, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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