文献詳細
文献概要
--------------------
書評「消化管の病理学」 第2版 フリーアクセス
著者: 武藤徹一郎1
所属機関: 1癌研有明病院
ページ範囲:P.2002 - P.2002
文献購入ページに移動本書は10章から構成されている.第1章は切除標本と生検の取り扱いで,極めて実際的に注意事項が記載されている.第2章は大腸SM癌の取り扱いの要点が,かなり専門的な問題も含めて詳しく述べられている.実地に詳しい筆者がかなり力を注いだ部分であることがわかる.第3章に間葉系腫瘍と類似病変の病理アトラスとして,珍しい13症例が提示されている.この辺の構成がいかにも筆者らしくユニークなのである.第4章から第8章までは病理組織診断として口腔,食道,胃,小腸,大腸(肛門管を含む)が順序よく記述されている.口腔病変ならびに肛門管病変についても記載があるのも,いかにも筆者らしくユニークなところである.筆者が序文で自ら述べているように,colitic cancerにはかなり力を注いで記載していることがわかる.著者の幅広い交友関係を反映して,数多くの優れた臨床家の協力を得たおかげで,教育的な症例が多数提示されているのは特筆すべきであろう.掲載されている写真はいずれも症例選択が的確で美しく,この分野の経験に乏しい医師にとっては非常に参考になると思う.全体的にみてもどの写真も質が高く,著者の病理学者としての自負がうかがわれる.何度見直してみても“?”がつく写真は1枚もない.
掲載誌情報