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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻3号

2008年03月発行

文献概要

今月の主題 まれな食道良性腫瘍および腫瘍様病変 序説

食道の良性腫瘍

著者: 吉田操1

所属機関: 1東京都保健医療公社荏原病院

ページ範囲:P.253 - P.254

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 食道の腫瘍性病変の大部分を食道癌が占めており,食道原発良性腫瘍の頻度は低い.さらに良性腫瘍の大部分を平滑筋腫が占めているため,他の良性腫瘍の頻度は極めて低い.消化管の診断・治療を専門にしていても,実際に平滑筋腫以外の食道良性腫瘍に遭遇する機会は少ない.一方,上部消化管の診療を担当するものは,食道・胃・十二指腸全般にわたって診断することが必須であるため,この領域の消化管疾患は一通りわきまえていなくてはならない.良性食道腫瘍に関する予備知識がないと,診断を間違える可能性があるだけではなく,腫瘍に対する臨床上の対処を間違える可能性も無視できない.食道の良性腫瘍は病理組織学的特徴に加えて肉眼的所見も独特のものが多く,慣れてくると臨床画像所見を基にその組織学的特徴を推測することがかなりの程度可能である.同じ理由で病理組織診断を行う際に臨床所見が大いに助けになることはしばしばある.食道の良性腫瘍の診療に際して,腫瘍の特徴を知り,これを踏まえた観察を行い,適切な組織の採取をし,病理部門へは生検標本だけでなく,適切な臨床情報を提供することにも大きな意味がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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